困難な問題を抱える女性の支援に関する法律
2024/12/14
新しい女性のための法律ができました。「困難な問題を抱える女性の支援に関する法律」です。これはこれまで暴力を受けた女性たちを保護するにしても売春防止法のもとで行われていました。そのため「保護・救済・指導・更生」から「人権の確立・回復支援・ジェンダー平等へ」と変わります。また、民間支援団体を対等な支援機関に位置付け、公的な財源を支出することが明文化されています。
困難な問題を抱える女性の支援に関する法律
厚生労働省資料より
目的・定義【第1条・第2条】 売春を行うおそれのある女子の保護更生を行う売春防止法からの脱却
女性が日常生活又は社会生活を営むに当たり女性であることにより様々な困難な問題に直面することが多い
困難な問題を抱える女性の福祉の増進を図るため、困難な問題を抱える女性への支援のための施策を推進
⇒ 人権が尊重され、女性が安心して、かつ、自立して暮らせる社会の実現に寄与
*「困難な問題を抱える女性」とは、性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の様々な事情により日常生活又は社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性(そのおそれのある女性を含む)をいう
基本理念【第3条】
①困難な問題を抱える女性が、それぞれの意思が尊重されながら、抱えている問題・その背景、心身の状況等に応じた最適な支援を受けられるようにすることにより、その福祉が増進されるよう、発見、相談、心身の健康の回復のための援助、自立して生活するための援助等の多様な支援を包括的に提供する体制を整備すること
②支援が、関係機関及び民間団体の協働により、早期から切れ目なく実施されるようにすること
③人権の擁護を図るとともに、男女平等の実現に資することを旨とすること
○国・地方公共団体の責務【第4条】 困難な問題を抱える女性への支援のために必要な施策を講ずる責務
○関連施策の活用【第5条】 福祉、保健医療、労働、住まい及び教育に関する施策その他の関連施策の活用
○緊密な連携【第6条】 ①関係地方公共団体相互間の緊密な連携、②支援を行う機関と福祉事務所、児童相談
所、児童福祉施設、保健所、医療機関、職業紹介機関、職業訓練機関、教育機関、都道府県警察、日本司法支援センター、配偶者暴力相談支援センターその他の関係機関との緊密な連携
基本方針・都道府県基本計画等【第7条・第8条】 厚生労働大臣は基本方針を策定、都道府県は都道府県基本計
画を策定、市町村は市町村基本計画の策定に努める
○女性相談支援センター【第9条】(←現行の「婦人相談所」を名称変更)
⇒①対象女性の立場に立った相談、②一時保護(※)、③医学的・心理学的な援助、④自立して生活するための関連制度に関する情報提供等、⑤居住して保護を受けることができる施設の利用に関する情報提供等を行う
*支援対象者の抱えている問題及びその背景、心身の状況等を適切に把握した上で、その意向を踏まえ、最適に支援
○女性相談支援員【第11条】(←現行の「婦人相談員」を名称変更)
⇒困難な問題を抱える女性の発見に努め、その立場に立って相談に応じ、専門的技術に基づいて必要な援助を行う
*必要な能力・専門的な知識経験を有する人材(婦人相談員を委嘱されていた者等)の登用に特に配慮
○女性自立支援施設【第12条】(←現行の「婦人保護施設」を名称変更)
⇒困難な問題を抱える女性の意向を踏まえながら、入所・保護、医学的・心理学的な援助、自立の促進のための生
活支援を行い、あわせて退所した者についての相談等を行う(同伴児童の学習・生活も支援)
○民間団体との協働による支援【第13条】(都道府県、市町村)
⇒民間団体と協働して、その自主性を尊重しつつ、支援対象者の意向に留意しながら、訪問、巡回、居場所の提供、
インターネットの活用、関係機関への同行等の方法により、発見、相談等の支援
(※同伴児童の学習も支援。一時保護受託者の守秘義務・罰則も規定。)
支援調整会議【第15条】 地方公共団体は、単独で又は共同して、支援を適切かつ円滑に行うため、関係機関、民間団体その他の関係者により構成される会議を組織するよう努め、会議は、必要な情報交換・支援内容に関する協議を行う(※構成員の守秘義務・罰則も規定)
○教育・啓発【第16条】 ①支援に関し国民の関心と理解を深める、②自己がかけがえのない個人であること
についての意識の涵養を含め、女性が支援を適切に受けることができるようにする
○調査研究の推進【第17条】 効果的な支援の方法、心身の健康の回復を図るための方法等
○人材の確保・養成・資質の向上【第18条】 支援を行う者の適切な処遇の確保のための措置、研修の実施等
○民間団体に対する援助【第19条】
費用の支弁等【第20~22条】 都道府県・市町村の支弁・補助/国の負担・補助 (※民間団体に対する補助も明記)
1 施行期日 令和6年4月1日
2 検討 ①支援を受ける者の権利擁護・支援の質の公正かつ適切な評価の仕組みについて検討(公布後3年を目途)
②法律全体の見直し(施行後3年を目途)
3 関係法律の整備 売春防止法第3章(補導処分)・第4章(保護更生)の削除等