ニュースレター26号
2014/11/30
みんなで助け合った「第17回全国シェルターシンポジウム2014inうべ・山口」
2014年11月1~2日に第17回全国シェルターシンポジウムを皆様のご協力によって無事に終えることができました。NPO法人山口女性サポートネットワークを中心とする実行委員会とNPO法人全国女性シェルターネットの主催、フィリップモリス・ジャパンの共催によって開催しました。参加者は2日間で延べ1,000人でした。ボランティアの方も80人近い参加でした。たくさんの方から寄付や賛助金、寄付もありました。全国女性シェルターネットの構成団体によって14分科会を開催することができました。
実行委員の方々はボランティアを出して下さったり、たくさんの広告を集めて下さったり、賛助会費を出して下さったりと様々なご協力をいただきました。参加者を募って下さった方もおられます。事務局からボランティアをお願いした方たちも快く引き受けて下さいました。事務局のメンバーもそれぞれ得意分野を生かして、開会セレモニーの演奏者のお願いや弁当の手配などあらゆる工夫をして開会式にこぎつけました。山口県からは助成金の協力、文書作成の協力、宇部市からは職員の参加やボランティアの協力、宇部観光コンベンションからは、宿泊者数に応じた助成金、シャトルバスの助成がありました。さらにJRからは電車の車両の増量をしてもらいました。また、山口県警察本部の後援と宇部署から警備をしてもらいました。国際ホテルも交流会の会場として協力してもらいました。こうして最初で最後の宇部市での全国シェルターシンポジウムは開幕となりました。
11月1日は宇部市渡辺翁記念会館でブリージングカルテットのサクソフォーン4台による演奏で始まりました。続いて主催者挨拶、山口県副知事、宇部市長、内閣府、厚生労働省、文部科学省からの挨拶がありました。基調講演は元参議院議員南野知恵子さんによる講演となりました。南野さんがDV防止法制定や改正に関わってこられ、さらに、リプロダクティブ・ヘルス/ライツについてお話をいただきました。続いて、シンポジウムとなりました。テーマは「DV・性暴力被害者支援を進めるために~医療支援現場の課題と法整備」です。戒能民江さんのコーディネートによって4人のシンポジスト、南野知恵子元参議院議員、河野美代子産婦人科医、竹下小夜子精神科医、八幡悦子助産師による、深刻な性暴力の実態について医療現場からの報告がありました。性暴力禁止法の必要性を実感したシンポジウムでした。
国際ホテルでの交流会は、工夫をこらした食事を囲みながら、国会議員の挨拶と地方ごとの活動紹介を行い、個々人の交流も盛んに行われていました。フィリップモリス・ジャパンからの助成金の授与式もありました。
翌日2日は、宇部興産ビルと宇部市文化会館の2会場で午前、午後に14分科会がありました。
どこの分科会も大変好評で、後日、参加者から分科会の内容が素晴らしかった、という声を聞いています。最後に全体会で大会宣言が採決されました。
不十分な点も多々ありましたが、参加者の気持ちでなんとか無事に終えました。現在報告書の作成中です。充実した内容を盛り込みたいと思っています。
第17回全国シェルターシンポジウム2014inうべ・山口
共同アピール
改正ストーカー規制法及び第三次改正DV防止法の運用が始まり、警察をはじめとする関係機関の取り組みがすすめられているにもかかわらず、DV・ストーカー被害の深刻さは軽減されることがありません。子どもたちをターゲットとする残虐な性暴力犯罪もあとをたたず、性の商品市場で人生を奪われる若年女子の性暴力被害が顕在化しています。求められているのは、DV・性暴力から被害者の人権を守る法律の運用なのです。
会期中の国会には、現国会で審議中の「女性の活躍推進法」「女性の包括的健康支援法」が上程されています。私たちは、これらの法案に、女性に対する暴力の根絶およびリプロダクティブライツ・ヘルスの視点が明文化されていないことに強い懸念を覚えます。会期中の国会では、「女性の活躍推進法」、「女性の包括的健康支援法」などが審議されています 。現政権は「女性の人権を尊重」し、「女性が輝く社会を実現する」ことを世界に向けてアピール公約しました。しかし女性の人権を侵害し生命の存続を脅かす「性暴力」の根絶なしに、「すべての女性が輝く社会」の実現はありません。日本の社会から、世界のあらゆる地域から、女性に対する暴力をなくすために、私たちは以下のとおり要望いたします。
一 私たちは、性暴力が根絶される社会の実現をめざし、包括的な「性暴力禁止法」の制定を求めます。
一 私たちは、DV防止法、売春防止法、ストーカー規制法、雇用機会均等法、児童虐待防止法、刑法等、性暴力に関わる関連諸法律の、国際基準にそった人権確立の視点による抜本的改正を求めます。
一 私たちは、あらゆる性暴力被害者を対象とする緊急保護命令制度の新設を求めます。
一 私たちは、性暴力犯罪加害者への不処罰を終焉させることを求めます。とともに、強制力ある加害者再教育制度の実施を求めます。
一 私たちは、国・都道府県・市区町村によるDV・性暴力根絶事業の継続的な予算拡充を求めます。
一 私たちは、当事者支援の主要な担い手である民間サポートグループ及び性暴力救援センター等に対して、国の責任による財政支援の確立を求めます。
一 私たちは、DV・性暴力被害者の人権救済システムの確立を求めます。
一 私たちは、医療機関をベースとするDV・性暴力被害者回復支援センターを、都道府県に一か所以上設置することを求めます。
2014年11月2日
第17回全国シェルターシンポジウム2014inうべ・山口 参加者一同
シェルターからの報告
今年度はシェルターの入所者が多く、たくさんの利用があります。すでに200日を超えています。ステップハウスも2軒ありますが、利用者が増えています。4月から保護命令を4件申請し、3件認められました。行政との関係も複数の市にまたがり、警察、配偶者暴力相談支援センター、児童相談センター、市民課、生活支援課、健康推進課、障害福祉課、家庭児童支援課、住宅課などたくさんの課との協力体制で自立に向けて取り組みました。また、弁護士や法テラスとの関係も作ることができました。
前号で茶碗やカーテン、家電などを皆様にお願いしました。さっそくたくさんのお茶碗やカーテンをいただきました。たくさんの人がシェルターから巣立っていかれましたので、布団が足りなくなりましたが、布団もたくさんいただくことができ、ストックできています。ありがとうございました。
電子レンジ、中型冷蔵庫、洗濯機が不足しています。お知り合いの方などの所に余っているものがあれば、
ご寄贈いただけると本当に助かります。よろしくお願申し上げます。
ご入金、有難うございました。 平成26年7月~平成27年2月 (敬称略・順不同)
賛助会員のみなさまへ
私どもの活動に、いつもご理解と温かいご支援を賜り、真にありがとうございました。
被害女性のためのシェルター活動や研修講座、被害者女性の自立へ向けての様々な事業を試行しております。しかし、私たちNPO活動の基本は、ご理解いただく皆さん方の意思と篤志に支えられております。どうか、本年も、多くの皆さんのご賛助・ご支援を賜りますようお願いいたします。
振り込み用紙を同封いたしました。既にお振り込み下さり、重複しましたら、お許しください。
会員:年会費5千円、賛助会員(個人 年会費1口3千円、 団体 年会費1口1万円)
郵便振替口座:01370-2-68031 口座名:山口女性サポートネットワーク
郵貯銀行 店番139 一三九店(イチサンキュウ店) 当座0068031ヤマグチジョセイサポートネットワーク
法務省「性犯罪の罰則に関する検討会」
辻 龍雄
日本セーフティプロモーション学会第8回学術大会は、お陰様で盛会裏に終えることができました。ご協力、ご支援に、心からお礼申し上げます。有難うございました。
情報提供です。性犯罪に関する法律が変わりそうです。
平成26年10月31日から平成27年1月にかけて法務省で「性犯罪の罰則に関する検討会」が5回開催されています。その配布資料、議事録等は、法務省ホームページ>省議・審議会等>検討会>「性犯罪の罰則に関する検討会」を選んでいくことで全文にアクセスすることができます。委員の男女比は、男性4名、女性8名で、審議は継続されています。
第4回の「性犯罪の罰則の在り方に関する論点整理(案)」をみると、論点は
【第1】 性犯罪の構成要件及び法定刑について
1)性犯罪の法定刑の見直し、2)強姦罪の主体等の拡大、3)性交類似行為に関する構成要件の創設、4)強姦罪等における暴行・脅迫要件の緩和、5)地位・関係性を利用した性的行為に関する規定の創設、6)いわゆる性交同意年齢の引き上げについて
【第2】 性犯罪を非親告罪とすることについて
【第3】 性犯罪に関する公訴時効の撤廃又は停止について
【第4】 刑法における性犯罪に関する条文の位置について、の4つです。
日本セーフティプロモーション学会のシンポジウムで、山口県産婦人科医会の女性医師から、山口においても性被害に遭った女性たちのほとんどが泣き寝入りをしている現状や、警察へ通報しても、検察の段階で起訴に至らない事例が報告されていました。こうした警察への通報や、逮捕後の起訴の難しさの背景には、強かん罪が「親告罪」であることと、「暴行・脅迫」の強かん罪の構成要件が厳しすぎることが関連していると思います。
「暴行・脅迫の構成要件」について、大阪の女性共同法律事務所のニュースレター27号(平成27年1月13日発行)には、現在の性犯罪の規定は1907年明治時代に作られたもので、女性には強い貞操義務が課され、男性の暴行や脅迫にたやすく屈するような女性は保護するに値しないとされ、被害を受けた女性には最大限の抵抗が要求されていたという趣旨の記載があります。構成要件には、このような時代背景があるようです。
被害者の回復には、加害者の処罰は重要なポイントです。こうした法律上の問題点が一歩でも改善されることを祈ります。