ニュースレターNo.1
2002/05/01
No.1
(1)設立にむけて
2002年1月、山口県内初の民間ドメスティック・バイオレンス防止活動の拠点である≪山口女性サポートネットワーク≫が生まれました。ネットワーク創設にあたり、ご協力・ご賛同いただきました皆さんに心から感謝申し上げます。
この活動は、1999年に国際婦人年をきっかけに結成されたサークル≪北京JAC山口≫の仲間たちが、ドメスティック・バイオレンス(DV)についての学習会を開いたことから始まりました。2000年には、同サークルの一部のメンバーを中心に≪ストップ・ザ暴力虐待実行委員会≫を組織し、文部科学省の「女性のためのエンパワーメント学習促進事業」の委嘱を受けて、「暴力被害者支援者養成セミナー」を開催して学習を深めるとともに、山口県内におけるDVに関する「アンケート調査」(回収標本数1018)を実施しました。その調査結果は少しづつ紹介させて頂きたいと思いますが、初めて明らかになった県内におけるDVの実態は予想以上に厳しいもので、より実際的な援助活動の必要性を感じました。そこで2000年12月には、実行委員を中心に≪女性への暴力ホットライン山口≫を設立し、DV被害者に対する相談℡活動を毎週1回実施することにしました。ついで2001年には≪ストップ・ザ・DV実行委員会≫を組織し、再び文部科学省の「女性のためのエンパワーメント学習促進事業」の委嘱を受けて、、今度は「暴力被害者支援者養成セミナー」を開催し.相談援助者としての力を高める研修を実施するとともに、セミナー受講者による12時間ホットラインの開設、さらには先進地である関東・関西・九州のシェルターの視察等を行ないました。
≪女性への暴力ホットライン山口≫では、2000年12月からやく1ねんかんで0件のDV被害女性の相談電話を受けつけました。相談ケースによっては、緊急の宿泊施設(シェルター)の利用が必要なくらい緊迫している場合も幾度かありました。早急なシェルター開設の必要を痛感する一方、実際にシェルターを維持するとなるとかなりの労力と社会的責任を有することも分りました。正直言って、経済的基盤もない私たちに果たしてそれがやりきれるであろうかと、いささかの逡巡があったのも事実です。しかし、皆さんの熱意と協力のおかげをもちまして、2002年1月にシェルター機能のある場所をなんとか確保できました。そして、それを機会に≪山口女性サポートネットワーク≫へと改称し、DVに苦しむ女性たちの総合的な支援体制づくりを目指すことにしたのです。今後はさらに.社会的責任体制を確固とするためにNPO法人化の手続きを急ぎたいと考えています。
シェルター開設準備の過程では、年末にみんなで張り切って大掃除をしたら、老朽化した建物は磨けば磨くほど綻びてしまい、排水が心配なトイレは、修理しているつもりが最後は素人では手に追えないくらい壊れてしまった。というエピソードも生まれました。なんとか落ち着くまでには、かなりの時間と手間が必要で、寒い冬だと思っているうちに、気がついてみたら外はすっかり春になっていました。目まぐるしい3ヶ月でしたが、たくさんのことがありました。
たくさんの方々から様々な方法でご協力を頂き、皆さんから支えられているということを実感する日々です。 どうか皆さん、これからも活動継続のために温かいご支援とご協力をお願いいたします。
(2)DV被害者への総合的支援事業について
(3)知的障害の女性への12年間に及ぶ性的・身体的虐待(第一弾)
平成13年11月3日(土)知的障害の女性に対して、小学6年の時から約12年間にわたり、性的・身体的虐待を加えた事例が発覚しました。同日の午前3時に暴力に耐えかねた24歳の女性が、住みこんでいた事業所を逃げ出したのです。加害者は事業所の社長夫婦。
12月上旬、警察への第一通報者は地元の地方紙でした。逃げ出して明らかになった事実は、①小学6年からの性的虐待、②事業所夫婦からの身体的虐待、③深夜労働・長時間労働、④食事さえ満足に与えていない。一日何にも食べ物をもらえなかったこともある。食事は賞味期限のきれた弁当や腐ったパン。⑤事業主から「しゃべればお前の母親がどんな目にあうかわからんぞ。お前の母親はお前を見捨てた。逃げ出したら警察へ連絡してお前の母親を誘拐罪で捕まえてもらう。」と脅されていたこと。⑥女性の部屋にはテレビやコタツが置かれていましたが、テレビを見ていいのは大晦日と元旦だけ。コタツの使用は禁じられ、コタツで寝ていると殴りつけられたといいます。
母親は知的障害者、父親はアルコール依存。家庭は破綻しており、被害者を助ける家族はいませんでした。
中学卒業後、被害者は施設から通所で働いていました。その頃、施設職員に窮状を訴え、行きたくないと言っても嘘をついていると相手にされませんでした。事業主の息子がその施設の職員という背景もあります。
その後、平成12年4月から逃げ出すまで、職親制度で1年8ヶ月住みこみ働きました。事業主は近所の人たちに工場以外に出ていたら連絡してくれと頼んでいました。半ば監禁状態です。悲鳴、泣き声、うめき声は近所に聞こえていたのですが誰も助けていません。
福祉事務所は、直ちに被害者を施設へ収容し保護しました。警察の今後の捜査の進展に期待したいと思います。
(4)電話相談から
最初の相談内容は、深刻でDV被害者のことをよく理解している精神科医を紹介してほしいということでした。
今度の電話口の彼女は、「紹介していただいたお医者さんは、とても良い方で、いろんな生き方があることを知った。あれ以降相談をしなかったが、自分を理解して支えてくれる人たちがいる、ということが心の支えになった。
いつでも相談できると思うと悲観的にならずに過ごせた。今も夜眠られないのは変わらないが、以前は過去のつらいことばかり考えていたのに、今は明日のことを考えられるようになった。今は、自分の体験が少しでも役に立てばと思って、自分の体験を職場の人に話し、DVについての理解を広めたいと思っている。」とおっしゃいました。
元気になられた彼女の声に、相談電話をやっていて「良かった」と思った瞬間でした。
女性への暴力ホットライン
0836-37-5611
電話・FAXによる相談窓口 月・火・水曜日 13:00~16:00
(5)活動日誌 2002.1~4
*月例会を除く
1/4 大島町よりみかんの寄附・販売
2/2 山口県精神保健協会「ハートフォーラム」参加
2/23 NPO法人設立についての学習会
3/4 宇部フリーマーケット参加
3/10 精神保健協会「児童虐待・性暴力防止専門部会」主催のシンポジウム
「身体的児童虐待防止~スエーデンから学ぶ~」に参加
3/13 山田英人(フルート)門屋寛子(ピアノ)による「命を感じるコンサート~虐待される女性 たち・子どもたち」「山口女性サポートネットワーク」へのチャリティーコンサート
4/6 山口女性ネットワーク下関支部を設立
4/16 国際ソロプチミスト防府より寄付金贈呈式