ニュースレターNo.6
2005/01/01
No.6
目次
(1)新年を迎えて
(2)第7回全国シェルターシンポジウム鳥取2004inよなご報告
(3)女性学ジェンダー研究フォーラムより
(4)三位一体改革と女性の自立支援について
(5)山口県への要望書
(6)DV被害者駆け込んだ先は、一時保護思わぬ扱い
(7)活動日誌
(1)新年を迎えて
山口女性サポートネットワーク
代表 小柴 久子
明けましておめでとうございます。昨年は暗いニュースが多すぎました。今年は明るいニュースの多い年になって欲しいですね。
昨年のDV関係に関していえば、「配偶者から暴力防止および被害者支援に関する法律」が改正され、12月から施行されました。DVの定義が身体的被害から精神的被害までに広がり、県はDVに関する基本計画を策定することが義務付けられました。このように少しずつではありますが、DVの支援体制は出来つつあります。
しかし、予算面でみれば三位一体改革で、DV被害者支援が国庫補助からはずされましたので、県の裁量に任されることになりました。今でも支援体制は都道府県によって格差ができていますが、今後はさらに格差が大きくなることになります。それを防止するには、NPO団体やNGO団体が力をつけて、都道府県に提案していくことが必要となります。そこで、NPO団体の情報交換がさらに重要性を増すことでしょう。11月にあった全国シェルターシンポジウムでは、大変大きな力をもらいました。その報告は後述していますのでごらんください。
被害者支援の面でいえば、深刻な相談が増えてきました。また、継続的な相談が増えています。緊急サポートの必要性は当然ですが、その後の自立することは大変厳しい状況があります。DV被害者は多くの場合、精神的な被害を受けているため、その回復には困難を極めます。一旦ついた就職も、人間関係に厳しさや賃金の安さなどなかなか自立していくことは難しい状況です。しかし、彼女らはその厳しさにもめげずに一歩ずつ回復しておられます。たとえ、夫のもとに帰られたとしても、一時的に避難されたことは無駄ではなかったと思います。
サポートをしてみると二次被害について実感させられます。公的機関でもDV被害者に対する対応は一見良さそうに見えます。しかし、DVそのものの理解ができていないために対応を間違っていることもあります。例えば、離婚調停でも夫と出会わないような体制はできています。しかし、調査官や調停員の言い方や表現方法から、PTSDを起こしてしまう例に遭遇しました。親切心から強引に彼女らを指導しようとすると、夫と彼女の力関係と同じような力関係を作ってしまいます。DVは力関係の問題だということです。
一見強そうに思われる被害者でも、実は非常に傷つきやすく、わかってもらえない辛さを常に持っています。彼女らの心は、薄いガラスのように感じます。理解できたふりではすぐに化けの皮がはがれます。サポートターはどれだけ被害者に寄り添えるか、その難しさを痛感する日々です。
(2)第7回全国シェルターシンポジウム鳥取2004inよなご
DVゼロをめざして!~なくそう暴力!協働で変わる社会~
2004年10月2日3日、全国シェルターシンポジウムが鳥取県米子市で開催されました。
1日目は、8つの分科会が行われ、当団体からは、第1分科会で「DV改正法・基本計画一番乗りは誰だ?!」、第2分科会「自立のための行政との協同」、第5分科会「医療関係者との連携」、第7分科会「DVと子どもの問題」に参加しました。
第1分科会では、鳥取県の「DV被害者支援計画案」を先進事例として全国に発信し、「DV改正法・基本計画一番乗りは誰だ」というテーマで、多摩でDVを考える会の遠藤智子さんと鳥取県子ども家庭課の原豊課長を中心に、今後取り組むべき施策を考えました。
原課長は、策定のポイントは、●被害者や支援者の意見を聞く、●施策を定着させるために、基本理念にDVは犯罪であると明記し、県民へ啓発し認識を広める、●民間との連携強化であるということでした。すでに、平成16年度のDV被害者支援事業費として約5600万円を予算化し、民間シェルターへの一時保護委託、2次被害を防ぐために相談員や行政窓口職員への研修の充実、被害者の自立のための住宅借り上げ費用の助成やステップハウスを民間団体に委託するなど進んだ施策を行っています。
この計画では、さらに支援の資質の充実を図るために、支援センターの機能の強化として各レベルにおけるスーパーバイズ体制の整備、たらい回しをしないような相談体制を窓口の一元化、第三者による苦情解決体制の整備、加害者対策等を盛り込んでおり、課題としては一つの県による対応ではおさまらないとして広域連携が必要だということでした。会場からは「DV被害者はみんな鳥取県に行こう。そして、過疎化に悩む鳥取県を女性の力で活性化しよう。」等との発言も出ていました。
第2分科会では、「自立のための行政との協同」について、中国5県の民間団体の代表者と、鳥取県の相談所所長、米子市の社会福祉課長補佐、鳥取県心と女性の相談室長との話し合いをしました。当団体も、山口県の民間シェルターと県との関係について報告しました。鳥取県はもちろんのこと、広島県、島根県でも、民間が業務委託をされていました。他県では財政的支援も行われていて、1年間の格差を感じました。民間の経験を県の施策に活かしていく必要性が語られました。
第5分科会「医療関係者との連携~DV被害者当事者支援における医療の役割」では、マサチュセッツ州総合病院/HEVENプログラムアドボケートの山田真由美さんの話がありました。病院でのDVの早期発見、早期介入、情報提供、患者の教育が必要であることを話されました。「DVは心身の健康に深刻な影響を及ぼす社会問題である。 DVは健康問題・医療問題である。DV被害女性のうち、37%がうつ症状、46%が不安症、45%がPTSDを経験している。」という報告がありました。
病院では、DV早期発見・教育のために女性患者に、一人になり安全な状況で「ご家庭では安全に過ごされていますか。家族や恋人にたたかれたり、怪我をさせられそうになったことがありますか。家族や恋人に脅されたりしたことがありますか。家族や恋人を恐いと思ったことがありますか」と直接聞き、怪我などをしている場合、「誰に暴力をふるわれましたか。」と尋ね適切に支援・通報・教育をしていることを話されました。地域のDV関係機関と医療との連携、パートナーシップが必要だと痛感しました。
第7分科会「DV子どもの問題」では、北海道シェルターネット発行の報告書「DV の被害から子どもを守る啓発事業」をテキストにして、北海道7ヶ所のシェルターでの事例の報告がありました。参加者人数は、約70人で8人位のグループに分かれて、自己紹介から、自分たちの活動の報告、情報の共有をしました。実際に活動している人、これから活動しようとしている人の熱気があふれる会でした
2日目には、韓国女性ホットライン連合常任代表の朴仁恵(パク・イネ)さんを講師に迎え、「急速に進んだDV問題の制度化と女性運動―韓国の経験から学ぶー」をテーマに基調講演が行われました。講演の中で、韓国のDV対策は、女性運動が大統領選に働きかけて進んだことなど女性運動史の話があり、DV追放には●暴力をふるわない人間教育をする、●被害者が自立できるようにする、●加害者を罰するの3点が大切であると強調されました。
その後、朴仁恵さんと、和光大学教授 舟橋邦子さんと鳥取県知事片山良弘さんによる鼎談が行われました。知事は、全国の地域格差について「鳥取県においでいただくのは構いませんが、鳥取県から出られた方が不自由であれば、それはその県にとって不名誉なことではないでしょうか。」と指摘し「広域連携のために、鳥取県並の水準を取っていただくよう、効果的に首長に伝えたい。」と話しておられました。
交流会の席で、第1分科会の原課長と話す機会がありましたが、開口一番が「山口県からもたくさんシェルターに来ておられますよ。」でした。「私たちも、山口県の支援の質を高めるよう要望していきますが、ぜひ、中国地方の行政に働きかけて鳥取県との地域格差をなくすように働きかけていただきたい。」とお願いしました。
また、青森県の民間シェルターの人から、「山口県の実情は青森県の実情にそっくりだ。本州の端と端で、もっとがんばろう」というメッセージをもらいました。
(3)女性学ジェンダー研究フォーラム
国立婦人教育会館主催「女性学ジェンダー研究フォーラム」(埼玉県嵐山町)で毎年8月に、120のワークショップが開催され、2000人近くの人達(行政、民間活動者、学者)が集まり、様々なテーマで討論を行っています。今年は8月27日28日29日の3日間でした。山口県からは山口女性サポートネットワークの自助グループの人達がワークショップ「あたしんちの出来事」というテーマで応募し、採用されました。家庭で女性のおかれている状況についてフリートークすることで、自分探しをすることをねらいに行いました。当日の参加者は20名でしたが、熱心に討議しました。そのワークショップを行った自助グループの感想です。
(H.Y)「男女共同参画社会形成に向けてのこのようなフォーラムにとても興味を持ちました。
ワークショップをすることも勧められ、フォーラムに参加してきました。官庁、教育関係の年配の女性の方々に圧倒され、不安の中でのワークショップでした。フリートーク形式での参加者の話から
感じたのは、女性の低い立場に女性自身まだまだ気付いていないということでした。人間社会は男と女という二つの部分から成り立っており、車の車輪の片方に不具合が生じれば、車は走られない。これと同様に、男女が対等に力を持ち、平等になって初めて社会は真に開発され平和になることができると思いました。
また、このワークショップで、私はとても貴重な体験をすることができました。それは「自分はで
きない」と思ったことに挑戦したことに対する自分への自信、それをフォローしてくれた自助グルー
プメンバーへの感謝と信頼です。この喜びは決して忘れることはないでしょう。
(M.Y)この体験は私にとって、大変有意義なものでした。参加させて頂いたことに感謝します。
フォ-ラムでは、いろんなことを学びましたが、まずその熱気に驚きました。全国から集まった人たちは行政・大学等の関係者、そして私たちのような民間ボランティア等、様々でしたが、ワークショップでは皆さんそれぞれの方法で女性問題についてアピールされていて、興味深いものばかりでした。
私達は、「あたしんちの出来事」というテーマで家庭内で位置づけられている女性の立場における内面を共有するつもりで、フリートークを行いました。参加者の皆さんは資料もなく完全フリートー
クの形式に驚かれたり、白熱したトークもあって盛り上がったりで、満足してもらいました。
しかし私の感想としては、内面の共有というよりは、問題提起に対する意見交換に留まってしまったことが残念です。 次回またチャンスがあれば、もっと内面を表面化させるような方法を考えたいと思います。
(R.K)今回「あたしんちの出来事」を語ることで少しでも自分を探すきっかけになればという 私たちの思いがあったのですが、いざ、ふたを開けてみると、私たちの思っていた方向に話は進まず、司会進行担当の私は、一瞬頭が真っ白になり、どうしていいかわからなくなりました。しかし、来て下さった方々の意見を尊重し、流れに任せようと思いました。
ただ、一人の人の話が極端に長かったりした時、どこで話を切ろうかとか、来て下さった方々全員にしゃべって帰って欲しかったので、まだしゃべっていない人はいないかなど、いろいろ考えながら進行しました。進行しながら、これでいいのかずーっと不安でした。しかし、後で参加者の感想文をみると、満足されたようだったので、今回はこれでよかったのかなと、思いました。たくさんの反省すべき点は残っていますが、大変貴重な体験をさせてもらいました。
(桔梗)今回のワークショップに参加してまず感じたことは、参加者がパワフルだということです。そのパワーがどこから来ているのか考えた時、女性のおかれている立場について真剣に考える人たちだからだろうと思いました。いつも生活の中で不満や不安そして怒りを感じ、それと向かい合い悩み苦しみ、対処し、自分をみつめるという現実と、その現実をあらゆる角度から、あらゆる方法でよりクリアにしていこうとするこのワークショップは、とても有意義なものでした。
「即興劇で見る家族、職場の中の私の人権」というワークショップは、普段の生活の中での心の中を的確に表現する即興劇で、心の中のことを言葉にすることが苦手な私にとっては、刺激的で不思議なものでした。また、私たちの主催したワークショップでは、これまた参加した人たちのパワーに圧倒され、自分の思いが言葉にできず、後でそのことについて考えることができ、今回、参加できたことは、本当によかったと思いました。
(4)三位一体改革と女性の自立支援
権限と財政を国から地方へ移譲しようとする「三位一体」の行政改革が押し進められています。基本的に地方が自立することは良い事かもしれませんが、他方で地域差が生じては困る分野があったり、地方に委譲されることでカットされる施策が増えると困ります。DV被害者への支援や、離婚したあとの女性の自立に大いに関わりのある各種の福祉政策へも大きな影響がみられます。
DV被害者支援では、被害者は加害者の居住地から少しでも離れた場所へ緊急避難する必要のある場合があります。しかし、今でも地域ごとの取組みに差があり、都道府県を超えた迅速なネットワークの必要性が問題提起されているのに、この改革でさらに地域差が生じる恐れがあります。特に被害者ニーズの顕在化しにくく、財政の厳しい地方の小都市では、DV対策は後回しにされがちでしょう。
母子福祉対策も、名目的には「自立支援策の強化」という路線で、女性にとってより厳しくなります。離別夫からより強く養育費を徴収するようになる一方、子を引き取った女性は5年間を目処に児童扶養手当が一部打ち切られるようになるのです。離別当初5年間の生活の激変は福祉が支援するが、5年経ったら各自の力量で自立してください、というものです。しかし、山口県内の母子家庭の収入は150万円以下が4割を占めるなど、相変わらずかなり厳しい状況です。また、昨年は戦後初めて生活保護の支給額が低下しました。同年の生活保護調査では、明らかに母子家庭を中心とする保護受給世帯の生活内容が、一般世帯と異なっていることがわかりました。これからは<一億総中流>の幻想は消え去り、<格差の時代>に入ります。ことに<女性の貧困化>が顕著になるでしょう。山口県母子福祉センターには、母子家庭等就業・自立支援センターが発足しましたが、活動実績はこれらです。
DVから逃れ、真の平安を勝ち取るには、心の傷を癒したり精神的な自立とともに経済的自立が不可欠です。基本的に<女性の生活設計力>を高めていく必要があると思います。園生 桃子
(5)要望書
山口県知事 二井関成 様
2004年10月26日
団体名 特定非営利活動法人山口女性サポートネットワーク
1. 件名
改正DV防止法を受け山口県のDV施策を重点施策とし、強化することを求める。
2.内容
2002年4月1日、配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律(以下DV法という)が完全施行されたのを受け、山口県においても配偶者暴力防止支援センターが開設されました。本年6月、改正DV法が公布され、地方公共団体の責務が拡充されることとなり、特に都道府県は基本計画の策定を義務付けられています。本来自分が一番安心できるはずの家庭で、人権を否定され、長期にわたって暴力をふるわれたDV被害者への影響は深刻で、身体的に大怪我を負わされたり複雑性PTSDを引き起こした女性の悲惨な事例が後を絶ちません。
山口県が、相談機関・一時保護所等の充実をはかるとともに、DV被害者当
事者を中心にすえ、DV被害者支援に実績のある有識者の参画のもと基本計画を早急に策定し、DV被害者の自立支援をするために、次の事項について要望します。
記
① 山口県(以下県という)は、改正DV法を受け基本計画を策定すること。策定にあたっては、被害者の立場に配慮した基本計画にするために、当事者や民間シェルター等民間団体、及び弁護士・医療従事者・カウンセラー、研究者等の意見を聞くこと。
② 県は「配偶者暴力相談支援センター」によるDV被害者とその子どもに対す
る心理的ケアと自立支援施策の拡充を図ること。
また、DV施策担当部局の責務を明確にし、各関係機関および市町との連携
を強化し、関係職員への研修を実施するとともに、民間DV被害者支援団体への支援と連帯を深め、DV防止体制・施策の充実を図ること。
別紙
1. DV防止計画の策定
① DV基本計画策定にあたっては、DV被害者の安全確保を最優先とし、支援者などの安全にも配慮すること。
② 国の調査や県の実態調査を行ったうえで、それらを施策に反映させること。
③ 県と市町との役割分担を明確にするとともに、市町村のDV施策を促進し、県として指導・助言体制を整備すること。
2. 相談・一時保護体制ならびに被害者の自立支援体制の充実強化
① 県の配偶者暴力相談支援センターを増設するとともに、市町の配偶者暴力支援センター設置を促進し、児童相談所にも情報提供機能を付加すること。
② 被害者の相談受け付け、一時保護、自立支援等の一貫した相談援助活動ならび、関係諸機関との連絡調整、相談員の研修の充実等を図ること。
③ 相談、一時保護及び自立支援機能を有する配偶者暴力支援センターの充実をはかるために、正規職員を大幅に増員し、カウンセラー、ケースワーカー、保育士、看護師を配置すること。
④ 一時保護施設の設備の充実をはかり、その安全性のため場所は非公開とする。また、保護対象も、恋人・親・兄弟など配偶者以外の者からの暴力の被害者にも広げる。
⑤ 一時保護施設においては、基本的人権が尊重され、外国人・障害者・性的マイノリティー等への配慮をはかるとともに、プライバシー保護と高齢者や障害者に対応するため、居室の個室化とバリアーフリー化を図ること。
3. DV被害者および子供に対する自立支援施策の充実
① 被害者および子どもに対して心理的ケアを提供すること。
② 被害者の参画のもと、個別の自立支援プログラム(就労支援、資格取得等を含めた)を作成すること。
③ 被害者のニーズにあわせた経済的支援を行う。生活保護の実施主体である市町に対し、統一した支援指針を示し、県内のどこでも同じ支援が受けられるようにすること。
④ 身体的にも心理的にもダメージが大きく、自立した生活へ移行するのが極めて困難な被害者および子どものために、ステップハウスやグループホーム形式の中間的支援施設を新設すること。
⑤ 県内在住外国人被害者を救済するため、多言語による広報を実施し、外国人の通訳派遣を制度化すること。
⑥ 県営住宅にDV被害者優先入居枠を設けるなどの住宅確保、雇用確保や職業能力開発などの就労支援など生活再建に向けた支援システムを構築すること。
4. 関係機関・市町村の役割明確化と関係職員への研修実施
① 県・市町の各関係機関、医療機関、警察は、それぞれ早期発見・通報・被害者保護・自立支援のためのマニュアルを作成し、関係職員に対する研修を実施すること。また、二次被害の実態を調査し、二次被害防止プログラムおよび職員の倫理綱領を作成し、関係職員に徹底すること。
② 民間の医療機関、保育所、母子自立支援施設、民間支援団体などとのDV防止・早期発見・通報・被害者保護への協力体制を構築するとともに、職員への研修および一般県民向けの啓発・研修をそれぞれ実施すること。
③ 警察官は、要請に応じて裁判所・自宅などへ同行し、安全確保する。保護命令当事者には同行すること。
④ 教育委員会は、子どもの安全確保と守秘義務のために、危機管理対応マニュアルを作成し、研修等を通して全教職員に周知徹底させること。
⑤ DV被害者支援にかかる苦情処理システムを設置すること。
5. 民間のDV被害者支援団体への支援と連帯を強化すること
① 民間シェルターや民間DV被害者支援団体の活動に対し、必要な支援を行うこと。
② 県は、市町、民間団体も含めたDV被害者支援関連機関ネットワークを設置し、連携を図るともに、他府県とも連携を図ること。
以上
(6)DV被害者駆け込んだ先は、一時保護思わぬ扱い
平成16年10月1日の中国新聞に、“DV被害者駆け込んだ先は、一時保護思わぬ扱い”、という見出しの記事が掲載されています。
行政の一次保護施設に保護されたDV被害者が、入所時に「持ち物を全部預けるように言われた。財布、通帳、指輪、携帯、それに時計まで…」、といった対応を受けているのです。
こうした状況が県の一次保護施設に存在していることを、私たちは入所していた人たちから聞いていました。問題として取り組まなければいけないと思っていた矢先、時を同じくして中国新聞広島本社がこの問題に注目し、中国5県での実情を取材し記事にしてくれました。この一つの記事のお陰で随分、山口県の対応は良くなりました。そして、中国新聞山口支局は、山口県についての続編の取材に取り組んでくれています。
さて、話題を変えます。
山口県内には8600名の知的障害者の人たちがいます。ところが、県内で歯科治療を受けている人たちは約1100名たらず。県内での歯科医療に満足できず、福岡県や広島県の障害者の治療を専門に行う療育センターへいく人たちがいるのです。
福岡県、広島県の療育センター方式と違って、山口県は地域のネットワークを活用して障害者の歯科治療に取り組むという山口方式をとっています。
しかし、その実態は、山口県歯科医師会の口腔保健センターへ年間230万円の助成金を出して、毎週木曜日の午後3時間、障害者の歯科治療を委託するというものです。230万で賄えるわけもなく、県歯科医師会は年間400万円を負担するという赤字状態。はっきり言えば、県庁のしていることは、山口県歯科医師会への無責任な「丸投げ」です。
平成16年12月8日の山口県議会で、佐々木あけみ県議に障害者歯科の実態について一般質問をお願いしました。おそらく、県議会で障害者の歯科医療が取り上げられたのは初めてのことだと思います。この質問は山口県への問題提起です。
読売新聞は、この問題について取材活動を始めてくれました。佐々木あけみ県議も継続的に、障害者歯科医療の前進のために発言してくれます。こうした動きが背景となって、山口県歯科医師会は、障害者歯科医療のシステムつくりに積極的に動き始めてくれていますが、県歯科医師会だけで対応するには大きすぎる問題です。県庁は当たり障りのない答弁で終わらせるだけでなく、前向きに取り組んでほしいと思います。
最後になりますが、山口女性サポートネットワークは、賛助会員の約60%が医療関係者という特徴があります。現在、疾患をもったDV被害者の一次保護は、行政の一時保護施設でも、私ども民間でも行われていません。今後、医療関係の賛助会員の皆様には、ご協力をお願いすることがでるようになると思いますが、その際には、どうか、宜しくご協力の程お願い致します。 辻 龍雄
(7)活動日誌 2004.7~2004.12
*月例会を除く
≪活動日誌≫
7/ シェルター入居者の相談、(ハローワーク・DV支援センター等)
7/17・18フェミニストカウンセラー養成講座、定例会
7/22 宇部民生委員会でDVについての講演
7/24 自助グループ
8/ シェルター退所後の相談(弁護士、簡易裁判所等)
8/3 山口県配偶者暴力相談支援連絡協議会
8/8 定例会
8/11 自助グループ
8/27~29女性学ジェンダー研究ファーラム(国立女性教育会館)
9/ シェルター退所後の相談(家庭裁判所、簡易裁判所等)
9/11 自助グループ
9/18・19フェミニストカウンセラー養成講座、定例会
10/ シェルター退所後の相談(弁護士、裁判所等)
10/1・2 全国シェルターシンポジウムin鳥取
10/5 ポリフォニックフェスタ説明会
10/9・10フェミニストカウンセラー養成講座、定例会
10/11 自助グループ
10/12 県男女共同参画課と協議
10/25 県民活動支援協議会
10/30 ポリフォニックフェスタ
10/30・1 アートフル山口
11/ シェルター退所後の相談(警察、裁判所等)
11/5 県民活動支援協議会
11/18 国際ソロプチミスト宇部で、DVについて卓話
11/20・21フェミニストカウンセラー養成講座、定例会
11/22 自助グループ
12/ シェルター退所後の相談(弁護士等)
12/11 女性会議2006実行委員会総会
12/18・19フェミニストカウンセラー養成講座、定例会
12/20 自助グループ