ニュースレターNo.9
2006/08/01
No.9
目次
(1)総会報告
(2)国際ソロプチミスト防府より受賞の報告
(3)DVに対する行政、裁判所、警察の対応について
(1)総会報告
総会報告
暑中お見舞い申し上げます。
去る6月25日に特定非営利活動法人 山口女性サポートネットワークの定期総会を開催しました。活動報告ならびに、決算報告をいたします。今年度維持できるだろうか、という不安にかられながら、昨年もスタートしたのですが、みなさまの会費、賛助会費と、国際ソロプチミストの推薦により、国際アメリカ連盟の助成金を獲得できましたので、何とか赤字決算にならずに済みました。
昨年度事業の変化は、山口県の委託事業を受けることが出来たことです。これは、シェルターに入所された方で、DV被害者と判断された方に対しては、一日6490円(2週間後からは5120円)、子ども一人につき1日2420円の委託費が出ることになりました。つまり、シェルターに入所中は個人的な負担はなしで、次のステップに移ることができるというものです。日常生活に必要な物(食糧、衣類、雑貨等)は購入せねばなりませんが、その個人負担がありません。また、スタッフは必要に応じて、当事者と市役所や裁判所、ハローワークなどに同行しますが、そのスタッフの交通費もその委託費で賄われます。さらに、シェルター内では、毎日入居者の様々な相談にのっていきますが、シェルターにスタッフが足を運ぶ交通費も出せました。入居中は電気代、水道代、ガス代は大幅に上がりますが、その負担もそれなりにできました。入所中、一人で食事を作ることは、いい加減になったりしますので、スタッフは時々自宅から様々な手料理を運びます。その材料代なども出すことができました。委託費がない場合は一泊1500円をいただいておりますが、この額は光熱費や家賃で消えてしまいます。委託費によって、入所者が自立するために最大限の援助をしやすくなったことは、事実です。
相談事業についてですが、これまでのホットラインはこれまでどおり行っていますが、11月から全国DV共通ホットラインに参加しました。これは、広島県の民間団体が韓国の「韓国女性ホットライン連合」を模して、フィリップモリスジャパン株式会社の支援を得て、2005年の11月から開設したものです。月曜日~土曜日10:00~15:00まで0120-956―080のフリーコールで相談することが出来ます。全国のDV相談をしている団体が曜日を分担して、電話相談を担当しています。私たちも、2006年度から月2回担当することになりました。私たちも、11月から3月まで30回の電話相談を受けつけました。そのため、相談員の交通費負担が増えることになりました。
DVについての講座を社会福祉協議会のボランティアのための助成を得て、3回連続講座を行いました。これは、スタッフ自身が講師となり、受講者から講師へというステップアップをすることが出来ました。
自助グループも毎月行っています。新しく加わった方は、自助グループで心の整理ができたようです。自助グループというものの意義を実感しました。
(2)国際ソロプチミスト防府より受賞の報告
国際ソロプチミスト防府
国際ソロプチミスト防府は、地域社会への奉仕活動とともに、女性や青少年への支援活動を主な活動としています。さて、昨年に続き、国際ソロプチミストアメリカ連盟の『女性と女児のためのソロプチミスト・クラブ助成金』を受賞することができました。このプロジェクトは「DV被害者女性のためのシェルター支援」を目的としており、山口女性サポートネットワークの活動を支援するものです。SI防府会員は、3度目となるこの受賞により、皆様の活動を支援することができてとても喜んでいます。
国際ソロプチミストアメリカ ヴィクトリア・ホッブス会長からのメッセージには次のように書かれていましたので紹介します。
「SI防府のプロジェクト『Providing Support for DV Victims’ Shelter』を援助するため、として$6,500をお贈りすることが決定しました。非常に多くのすばらしいプロジェクトの応募があったため、今回選ばれたのは大変名誉なことといえます。SIAプログラム協議会のメンバーで構成された特別委員会が、各応募プロジェクトを審査し、資金を供給すべきプロジェクトの推薦を行いました。皆様のクラブの応募プロジェクトは、女性のために変化をもたらす活動としての範を示すものです。『女性と女児のソロプチミスト・クラブ助成金』を通してSI防府の活動を支援できますことを、全てのソロプチミストが誇りに思うことと存じます。」
●今回、国際ソロプチミストアメリカ連盟の助成金により、リーフレットを新しくしました。
(3)DVに対する行政、裁判所、警察の対応について
辻 龍雄
平成10年(1998年)「ドメスティック・バイオレンス 夫・恋人からの暴力をなくすために」(ゆうひかく選書;ISBN4-641-28005-3)が出版されました。著書の一人角田由紀子弁護士からその本を頂き、書名の「ドメスティック・バイオレンス」を見て、私の脳裏に浮かんだのは「国内の暴力?」。
そんな認識だったのですが、それから、わずか8年の今、DV防止法が制定され、ここまで日本社会の中にDVという言葉が定着したことは驚くべきことです。行政が推進していた男女共同参画の動きと連動したのも急速に広まった一因かと思います。また児童虐待への関心の高まりも関連していると思います。平成17年には、山口県男女共同参画センターに460件(全体の12.1%)ものDVの相談がありました。
昨日、山口家庭裁判所の家事調停委員研修会で講師をさせて頂きました。自分自身が関与した事例を紹介してきましたが、その事例の多さと、その人たちの多くが、私のごく身近な人たちであったことに、話をしながら、自分自身でも意外な気持ちでした。山口家庭裁判所は、DVの問題に積極的に取り組んでいます。裁判所が市民の身近な存在にと考えていますという発言がありました。
これまで、サラ金のテレビ・コマーシャルをいまいましく見ていました。子犬を使ったサラ金業者が叩かれたときに、やっとという気持ちでした。夫からの生活費が途絶えた時に、収入のない女性は金銭の工面をサラ金に頼るしかない。たいていの方が200~300万円の借金のあたりで、自分ではどうしようもなくなります。
平成12年頃から警察は犯罪被害者対策の活動を始めました。県警本部の中に犯罪被害者対策室が設置されました。犯罪被害者対策室の最初の活躍は、JR下関駅構内の無差別殺戮事件の時です。今も、次々と被害者支援対策の施策を企画されています。これまでの警察にはなかった取り組みと思います。そして、警察との連携がとれるようになったことは、私たちにとって大変大きな前進でした。山口県警察はDV被害者の支援について、非常に好意的に対応してくれています。
私はDVを取り巻く社会環境は、いい方向に動いていると思っています。