ニュースレター17号
2010/06/28
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ニュースレター |
総 会 を 終 え て
日常を忘れて、山を見ると木々の緑に感動する日々です。いかがお過ごしでしょうか。
平成21年度の事業が終わり、5月9日に平成22年度総会を開催しました。
平成21年度の事業について報告します。電話相談は、月・火・水曜日に行っています。その相談件数は、延べ120件、全国共通DVホットラインは、第2・第4水曜日の相談を担当しています。その相談件数は98件ありました。メールでの相談が25回、面接相談が11件、手紙が1回となっています。相談内容は、新規の案件のみならず、前年度、さらにそれ以前からの被害者からの継続的な相談にも随時応じています。必要に応じて同行支援も行っています。財産分与に関する調停も約1年で結審しました。長くて辛い支援でしたが、当事者が納得できる結果を得ることが出き、喜んでいます。
シェルター事業については、一時保護の委託が1家族1人37日(委託28日)、委託外の入所者が1家族1人69日です。シェルター入所者は少ないですが、一人ひとりに応じたケアを行っているところです。入所者の付き添い支援は、病院5回、裁判所2回、行政関係2回、その他14回です。前年度の3月に入所された方も、退所されてからほぼ1年支援を続けました。様々なことがありましたが、今はなんとか心の整理がついたようで、落ち着いた生活をしておられ、1年の支援は無駄ではなかったようです。
広報啓発事業では、ニュースレターの発行、イベント(長門市、下関市)に参加して啓発活動を行いました。また、昨年に引き続き、日本セーフティ・プロモーション学会で、実践発表をし、学会誌に報告が載りました。さらに国際セーフ・コミュニティ会議で発表をしました。県内各地主催の人権講座などから講演依頼を受け、3回講演しています。
研修事業では、11月に宇都宮市で開催された全国シェルターネットシンポジウムに3人が参加しました。岡山で開催された性被害支援研修会(全国女性シェルターネット主催)にパネリストとして参加しました。その他、内閣府の全国DV研修や県内の研修などにも参加しております。
自立支援事業としては、防府で自助グループの活動が始まりました。職業支援としてのパソコン講座は延べ64回行っています。
支援の総数としては決して多いとは言えないのですが、個々人に応じたきめ細かい支援に努めており、密度の濃い支援活動が出来ているのではないかと思います。
今年度は、新たに山口県から事業委託を受けて、自助グループ活動を県内3ヵ所で開くことができます。さらに、緊急雇用対策として、一人雇用することができることになり、事業を拡大させることが出来きそうです。
独立行政法人福祉医療機構助成事業
女性のためのさわやかコミュニケーション講座
女性たちの身近な暮らしでは、親子、家族、近隣との関係の中等でなかなか自分の思いが伝えられない、伝わらないと感じることがあるものです。「私だけの問題?」本当にそうなのでしょうか?このセミナーは、このような問題に関心のある女性の皆さんとともに、女性を取り巻く課題解決のための学習会を開催するものです。
どうぞ、お気軽に参加ください!
女性サポートネットワーク防府 代表 澤田 寿子
≪申込み・問合せ先≫防府市栄町1-5-1 ルルサス防府2階 防府市市民活動支援センター気付
TEL 0835‐38‐4422 FAX 0835‐24‐7733
E-mail ehofu@trust.ocn.ne.jp
<第1回> |
2010年7月3日 10:00~12:00 |
知らないと損する身の回りの法律 |
~DV被害者への法的支援とは~ |
講師:鈴木 朋絵(弁護士) |
13:00~15:00 |
自己肯定感を高めるには |
~交流分析から~ |
講師:岡本 早智子 |
(女性サポートネットワーク防府顧問) |
日時:7月3日(土) 10:00~15:00 |
会場:ルルサス防府 多目的ホールA |
参加費無料 |
<第2回> |
2010年7月24日 10:00~15:00 |
DVの理解とコミュニケーション |
~DV被害者の支援にあたって~ |
講師:加藤 伊都子 |
フェミニストカウンセリング堺所属 |
認定フェミニストカウンセラー |
日時:7月24日(土) 10:00~15:00 |
会場:ルルサス防府 研修室2 |
参加費無料 |
<第3回> |
2010年7月31日 10:00~15:00 |
家族との上手なコミュニケーションのとり方 |
~あなたのコミュニケーションパターンは? |
アサーティブな関係から~ |
講師:藤原 暁子 |
フェミニストカウンセリング堺所属 |
日時:7月31日(土) 10:00~15:00 |
会場:ルルサス防府 研修室2 参加費無料 |
第19回国際セーフ・コミュニティ会議
辻 龍雄 tatsuo-tsuji@mx81.tiki.ne.jp
第19回国際セーフ・コミュニティ会議が、2010年3月23~26日に韓国Suwon市(人口120万人)で開催されました。40カ国から約450名の参加者があり、38の招聘講演、108の口演発表、77のポスター発表が行われました。私たちは、Violence(暴力)の分科会で、“Child Abuse Must be Addressed in All Cases of Domestic Violence”と題する口演発表を行いました。
口演要旨は、前半では、日本では児童虐待とDVとを別々の法律と別々の行政機関で保護支援しているために、母親と子が一緒に逃げてきたときに、母親は女性保護施設に、子は児童相談所もしくは児童養護施設に母子分離されて保護され、男女共同参画行政と児童福祉行政の狭間で戸惑う母子がでていること。
後半では、DV家庭の子どもたちが、就学期前では愛着障害、就学期には不登校、就学期を終えると引きこもりなどの対人関係障害を、やがて女性では結婚後にDV被害者になる人が多くなり、アルコール中毒、母親への暴力など、生涯に長く続く精神的なダメージを受けていることを報告しました。
今回の分科会での他国からの報告をみると、日本では法による保護対象は“Domestic Violence(配偶者間暴力)”に限定されていますが、他国では“Intimate Partner Violence(親密な男女間の暴力)”として配偶者間に限定しておらず、さらに、ニュージーランド警察の口演発表では、“Family Violence(家族内の暴力)”という男女間だけでなく児童虐待も含めた対応をしていました。
以下、私たちのこれまでの報告です。
【学会報告】
2006年 小児科医からDV被害者と指摘された母親の支援から見えてくる問題点
山口県小児保健研究会(山口)
2008年 “A safe community requires multi-agency collaboration for the effective support of victims of domestic violence”
International Conference on Surveillance for Safe Community. (Kyoto, Japan)
2008年 高齢期におけるDV被害者支援の課題
第2回日本セーフティプロモーション学会(東京)
2009年 DV被害者支援における民間シェルターの機能と役割について(第1報)
第3回日本セーフティプロモーション学会(青森)
2010年 “Child abuse must be addressed in all cases of domestic violence”
19th International Conference on Safe Communities (Suwon, Korea)
【論文発表】
2010年 民間シェルターの活動からみるドメスティクバイオレンスの被害者とその子どもたちの支援における課題. 日本セーフテイプロモーション学会誌 3(1):65-70, 2010.