ニュースレター23号
2013/07/09
認定NPO法人への道
3,000円以上の寄付金100人をめざして!!
認定NPO法人とは、NPO法人のうち「一定の要件を満たしている」と国税庁が認めた法人をいいます。認定NPOになると、以下のような様々な税制上の優遇措置を受け取ることが出来ます。①個人が認定NPOへ寄付をした場合に寄付金控除が受けられる ②法人が認定NPOへ寄付をした場合に損金に算入する枠が広がる ③相続や遺贈により財産を取得した人が認定NPOへ寄付をした場合に寄付をした財産が相続税の課税対象から外れる ④認定NPO法人が収益事業から得た利益を非収益事業に使用した場合に、この分を寄付金とみなして一定の範囲で損金にできる(みなし寄付金) また、間接的な効果として、認定NPOとなったことにより世間に対する信用力がアップすることも見逃せません。
寄付を受けるNPO法人が認定NPO法人になると、「みなし寄付金」の適用を受けることがあります。「みなし寄付金」とは、収益事業から得た利益を非収益事業に使用した場合に、この分を寄付金とみなし、一定の範囲で損金(法人税の経費)に算入できるという制度です。損金にできる金額の限度は、従来は所得金額の20%でしたが、平成24年4月1日以降は、所得金額の50%又は200万円のいずれか多い金額までになりました。法人税上の収益事業を行っており、収益事業で生じた利益を非収益事業に使っているNPO法人にとっては、みなし寄付金を受けるメリットがあります。
以上のように、認定NPOになることは経営面で毎年綱渡りをしている当団体において喫緊の願望でもあります。しかし、認定NPO法人を取得するためには様々なきびしい用件を満たさなければなりません。次の8つの用件です。①パブリックサポートテストをクリアしていること ②活動の対象が会員などをメインとした共益的な活動でないこと ③運営組織及び経理について適正であること ④事業活動について、一定の要件を満たしていること ⑤情報公開が適正にされていること ⑥所轄庁に対して事業報告書などを提出していること ⑦法令違反、不正の行為、公益に反する事実等がないこと ⑧設立の日から1年を超える期間が経過していること です。
このうち、最大の難関は、①の「パブリックサポートテストをクリアしていること」というところです。
パブリックサポートテスト(PST)のP(パブリック)は「公益」「一般市民」、S(サポート)は支援、T
(テスト)は「審査」、つまり、「一般市民からの支援度を審査する」です。「公益性が高いかどうか」を「一般市民から支援されている度合いで審査しよう」というのが基本の考えです。審査には3つの方法があり、その1つ目に「絶対値基準」があり、これは一定金額以上の寄付者の数が一定数以上の場合に「一般市民から支援されている」と考える方法です。具体的には、「年3000円以上の寄付者の数が年平均100人以上であること」です。あと2つの用件があるのですが、当団体としてはこの「絶対値基準」のクリアを目指したいと考えているところです。この審査は初めて申請する当団体では、直前2事業年度が実績判定期間となります。
ここで、皆様には、一人でも多くの賛助会員(寄付者)を増やすために、お知り合いの方に当会の趣旨をお伝えいただき、認定NPOへの道を切り開いていくご援助をお願いしたいのです。これまで数年間以上に亘っての賛助のご援助に感謝致しますと共に、今後さらなるご協力を切に願っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
総 会 を 終 え て
平成24年度の事業が終わり、5月18日に平成25年度の定期総会を開催しました。平成24年度の事業について報告します。
電話相談では、月曜から水曜日の午後の相談及び携帯電話での相談が484件、全国ホットラインが690件、これは毎日24時間行われております。私たちは、月2~3回担当し、深夜の時間帯のこともありました。
次に自立支援事業ですが、6月から山口県自助グループ企画運営委託を受け、3月までで自助グループを26回、25人で実施しました。ミニ自助グループが96回、対象者14人でした。9月に野外活動、2月には合宿を行いました。7家族10人の参加があり好評でした。職業支援としてのパソコン教室は24回実施しました。
シェルター事業では、一時保護が延べ130日の利用があり、6家族13人と昨年の倍以上の稼動でした。年度末に近かったのですが、3月よりグリーンコープからの助成があり、入所者の費用に当てることができました。ステップハウスは昨年に引き続き1家族1人の利用となっています。
広報啓発事業では、8月に山口県男女共同参画協働事業としてデートDV講演会を開催しました。伊田広行氏を講師に招き、80人の参加があり、新聞社、テレビ局等多くのマスコミから取材を受けました。社会的ニーズ、関心の手応えを感じました。10月にはきらめき財団の助成を受け、『デートDV対応ノウハウ』の小冊子を作成し、11月にその小冊子を活用した講座を開き、30人の参加がありました。さらにデートDV防止教育派遣活動も宇部市の委託ときらめき財団の助成で、7、2、3月に行っています。DV被害者支援講座についても、6、7,9,1,2月に6団体に講師を派遣しました。ニュースレターは6月と1月に発行しました。
研修事業として、今年度は10月に全国シェルターシンポジウムにて「デートDV分科会」を担当しました。伊田広行氏をファシリテーターに中四国の4民間支援団体代表の発表という構成で行い、参加は100人を越え、会場からの質疑応答も活発に交わされました。
このように昨年度は従来のDVのみならず、「デートDV防止教育」にも活動を広げていけた1年だったように思います。この活動を継続していくことは社会的に求められていると認識し、さらにDV、子どもの問題、家族間の問題も多く、研修を積み、適切で丁寧な支援を心がけていきたいと思っております。
賛助会員のみなさまへ
私どもの活動に、いつもご理解と温かいご支援を賜り、真にありがとうございました。
被害女性のためのシェルター活動や研修講座、被害者女性の自立へ向けての様々な事業を試行しております。しかし、私たちNPO活動の基本は、ご理解いただく皆さん方の意思と篤志に支えられております。どうか、本年も、多くの皆さんのご賛助・ご支援を賜りますようお願い致します。
振り込み用紙を同封いたしました。既にお振り込み下さり、重複しましたら、お許しください。
会員:年会費5千円、賛助会員(個人 年会費1口3千円、 団体 年会費1口1万円)
郵便振替口座:01370-2-68031 口座名:山口女性サポートネットワーク
郵貯銀行 店番139 一三九店(イチサンキュウ店) 当座0068031ヤマグチジョセイサポートネットワーク
強姦は親告罪から除外されるか
辻 龍雄
いつの間にか20年近く、こうした活動を続けてきた。この間に、性犯罪を取り巻く法律は変貌を遂げていった。平成12年まで強姦罪の時効はわずか6ヶ月だった。警察署に被害女性と一緒にいき、強姦の時効が、たった6ヶ月と聞いて唖然としたことがある。その時の警察官が、「起訴が完了するまでが6ヶ月以内でなければならないんです。ぎりぎりにこられてもだめなんです。」と説明されたことをありありと思いだす。
全国の県警にレディース110番という相談電話が開設されて、そこに相談してくる強姦被害の女性たちが事件後数年を経て初めて打ち明けるケースが多いことが明らかになった。それが強姦の告訴期間が撤廃された背景にあると聞いたことがある。こうして、時効の問題は改善された。
強姦を親告罪とした理由は、「起訴によって事実が公になると被害者の名誉が害され、精神的苦痛等の不利益が増すから」と解されている。しかし、二人以上による強姦だと、「暴力的犯罪として凶悪性が著しく強度であるために、訴追を被害者の利益のみによって左右するのは適当ではない」とされ親告罪から除外される。その論理だと、強姦されても告訴しないことが被害者の利益になり、強姦は凶悪性が著しく強度ではない?
親告罪であるために、被害者自身が告訴を断念するケースがでている。また、被害者が子どもや知的障がい者の場合は、裁判で告訴能力を否定される場合がある。被害者に知的障がいがあるために、警察が逮捕に躊躇することを私自身経験したことがある。
私が関知した事例のうち、強姦されて妊娠したケースは2例あった。強姦する時に、避妊などしていないのだろうと思う。2例とも警察は事件を認知し、1例では警察署での事情聴取が数度行われた。しかし、2例とも告訴しなかった。
性犯罪では、事件を知った両親や兄弟などの周辺者が騒ぎ立てることで、本人は取り残されてしまうことがある。それが嫌で告訴しなかったと、最近ある被害女性から聞いた。そういう心理もある。
こうして被害は潜在化していく。加害者は野放しとなる。境原は8判例を検証しているが、8事件中の5事件で、被害者の数は、15名、28名、5名、10名、4名であったと報告している(群馬社会福祉論叢2010年)。また、2011年12月号の月刊文芸春秋に性犯罪者の手記が載せられているが、この男による被害者の実際の数は300名を超えているという。
今年2月に岡山市で開催された全国シェルターネットのシンポジウムで、強姦罪を親告罪から除外しようという動きがあると聞いた。今後のなりゆきを注目していきたい。