ニュースレター27号
2015/07/24
平成27年度定期総会
平成27年度定期総会を5月24日に終えることが出来ました。平成26年度の事業は470万円の事業規模でした。
収入の主な内訳は会費賛助会費が62万円、寄付金117万円がありました。補助金助成金としては、山口県からは夜間警備保障費、シェルター入所者の委託費(1人分)、宇部市DV被害者支援助成金9万円、宇部市デートDV防止講座委託費4.8万円、山口きらめき財団から性暴力についての連続講座として46.8万円デートDV防止講座委託費4.8万円、連合「愛のカンパ」30万円、ソロプチミスト日本財団社会貢献賞50万円でした。事業収益は57万円ありました。
事業内容について報告します。
【相談事業】相談件数178件、全国ホットラインが473件でした。
【シェルター事業】シェルター入所者は9家族16人が235日の利用でした。ステップハウスAは353日2家族2人の利用、ステップハウスBは3家族8人201日の利用でした。昨年度、ステップハウスの2軒目を提供していただきました。シェルターを退所してその後の住居を考えていた時だったので、すぐにステップハウスに入所となりました。その後もステップハウスの利用者が続きました。
入所者は何度か相談の後に家を出る決心をされ、シェルターに入所となる人もおられれば、相談の段階で家を出る準備をされていてその場でシェルターに入所ということもあります。シェルターでは、安全性が確保され生活の見通しが立った段階で、次の住まいを探して退所となります。シェルターにいる間に安全性の確保や次の生活のことで公的機関に何度も同行します。この同行支援69回でした。平成26年度は保護命令の申請も多く、4件の対応となりました。
【自立支援事業】自助グループを毎月1回開催しています。自助グループは緊急事態を脱した人たちの集まりで、孤立感を癒す役目を持っています。その他には、面接や同行が60回ありました。ここでの同行は緊急事態ではありません。生活の再建のためのことが多いです。離婚調停や離婚裁判などでの弁護士事務所や裁判所への同行、それに伴う面接が主になります。時には母親の体調不良のために子どもの預かりもしました。たくさんのことがありました。
【広報啓発事業】「第17回全国シェルターシンポジウム2014inうべ・山口」を実行委員会と全国女性シェルターネットの共同主催で行いました。山口女性サポートネットワークとしては、事前研修として性暴力についての連続講座を開催しました。シェルターシンポジウムの分科会では、山口女性サポートネットワークが1分科会を担当し、民間と行政との協同について話し合いました。初めてで最後の全国大会の運営に関わりました。
また、デートDV防止講座として高等学校、専修学校、大学など7校で行いました。たくさんの若者たちに出会いました。少しでも記憶に残ってくれるといいなあ、と思っています。
活動計算書
特定非営利活動法人山口女性サポートネットワーク
平成26年4月1日~平成27年3月31日
【経常収益】
受取会費 620,000
受取寄付金 1,178,438
受取助成金等 1,583,220
事業収益 579,447
その他 収 益 637,259
経 常 収 益 計 4,598,364
【経常費用】
(1) 人 件費
給料 ・ 手当 1,255,357
法定福利 費 0
通 勤 費 322,200
人 件 費 の 経 費 計 1,577,557
(2)その他経費
諸 謝 金 273,500
印刷製本 費 112,860
会 議 費 1,000
旅費交通 費 180,720
通信運搬 費 298,180
消 耗 品 費 233,464
図 書 費 0
会 場 費 31,590
水 道光熱 費 243,563
施設充実 費 781,994
地 代 家 賃 636,000
諸 会 費 41,500
租 税 公 課 600
保 険 費 9,218
研 修 費 145,000
医 療 費 513
教 育 費 0
雑 費 158,688
そ の 他 の 経 費 計 1,741,506
経常費用計 4,725,947
当期正味財産増額 -127,583
前期繰越正味財額 2,452,812
次期繰越正味財額 2,325,229
シェルターからの報告
シェルターを移転しました。かなりの荷物があり、ストックも含めて何軒分もの家財道具で引っ越しにはかなりの労力を費やしました。引っ越し業者に頼むと2トントラックで4台、30万円(繁忙期のため)と言われました。できるだけ引っ越し費用を少なくするために、乗用車で何度も運搬しましたが、大型家具だけは運送会社に頼まざるを得ませんでした。部屋はそれぞれ独立しましたので、それぞれに部屋に家電、調理器具、家具、寝具などが要ります。運よくいただいた家具や家電とストックで間に合わすことができました。カーテンは2.5メートルの物が数枚必要でしたが頂いた素敵なカーテンをかけることができました。ストックのカーテンから建物のサイズに合わせて、必要な窓の数に合わせて用意することは本当に難しいでした。皆様のご協力に感謝します。
このようなシェルター移転の混乱の最中、偶然にも入所者がおられませんでした。落ち着いた頃入所者が登場しました。不思議ですね。こちらの様子をみすかされているような感じがします。
今のところ、次のステップの人のためのカーテン、食器、布団のストックはありますが、炊飯器、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機などの家電が不足しています。その他に小さなことですが、意外に必要でなかなか集まらないものにスプーン(大、小)、フォークがあります。退所する時には、何本かスプーンの大小とフォークを差し上げています。足りなくなりました。余っておられる方はおられませんか。
よく衣類について問われますが、残念ながら年齢、サイズ、デザイン、生活スタイルなどから頂いたものはなかなか合わないのが実情です。そのためたくさん残っています。
法務省「性犯罪の罰則に関する検討会」の動向
辻 龍雄
法務省が性犯罪に関する法律を変えるための審議会を開催しています。第1回会議は平成26年10月、第9回は平成27年4月に開催。第4回から実質審議に入り、今もなお継続中です。
《10項目の論点、会議の議題》
第2・3回:12名の専門家や被害者からヒアリングを実施。
第4回:(1)性犯罪を非親告罪とすることについて。(2)性犯罪に関する公訴時効の撤廃又は停止について。(3)配偶者間における強姦罪の成立について。
第5回:(4)強姦罪の主体等の拡大。(5)性行類似行為に関する構成要件の創設。
第6回:(6)強姦罪等における暴行・脅迫要件の緩和。(7)地位・関係性を利用した性的行為に関する規定の創設。(8)いわゆる性交同意年齢の引き上げ。
第7回:(9)性犯罪の法定刑の見直し。(10)刑法における性犯罪に関する条文の位置について。
第8回以降:各論点について、2巡目、3巡目の検討
【非親告罪とすることについて】
「多数の御意見は非親告罪とすべきだという御意見であったように思います。」 (第8回議事録12頁、座長発言)
【性犯罪に関する公訴時効の撤廃又は停止について】
「被害者が年少者の場合には, 一定の年齢に達するまで公訴時効が進行しないことにするべきであるという御意見も複数述べられましたが, 総体的には, 公訴時効の趣旨に鑑みると, 性犯罪についてのみ公訴時効を撤廃, 停止するべきではないという御意見が多かったように思います。」(第8回議事録18頁、座長発言)
【強姦罪等における暴行・脅迫要件の緩和】
「緩和すべきではないかという御意見が述べられましたが, ほかの委員からはその必要はないのではないか, あるいは撤廃することはむしろ弊害があるのではないかという御意見が述べられていたように思われます。」(第6回議事録10頁、座長発言)
議事録を読んでみると、強姦罪を非親告罪にすることになるような気がします。暴行・脅迫要件の緩和について否定的な意見が多いのは、現在の裁判において、すでに「実質的には緩和している」現状があり、撤廃・緩和するよりも、むしろ、「地位・関係性を利用した性的行為に関する規定」を創設した方がいいのではないか、という意見からのようです。
<引用:法務省トップページ > 省議・審議会等 > 検討会等 > 性犯罪の罰則に関する検討会>