ニュースレター38号
2021/01/25
寒中お見舞い申し上げます
1月上旬は体験したことのない寒さと雪でした。みなさま被害はありませんでしたでしょうか。昨年は、新型コロナウィルス感染症で1年が終わってしまいました。今年も新型コロナウィルスの猛威は終わっていませんが、コロナウィルスに負けないように事業を進めております。
★ SNS相談を開始しました
https://form.purple-yamaguchi.jp/
パープル山口SNS相談(DVのチャット相談)
・毎週水曜日・木曜日 18:00~22:00
・上記のURLサイトでメールアドレスを入力いただくとチャット用
URLが届きます。
・携帯電話アドレスの場合purple-yamaguchi.jpのドメインからメール
を受け取れるように設定をお願いします。
内閣府のパイロット事業として山口県からの補助金を受けて、新しく事業をすることができました。12月からSNS相談を始めています。まだ広報が充分ではないので相談は少ないですが、若い方からの相談があります。電話で話すことが苦手だとか、周りの人に相談内容が知られずに相談したい、赤ちゃんが寝ているので声を出すと起きる恐れがある、そのような時にSNS相談は向いています。ホームページのSNS相談から入り、記入したメールアドレスにURLが送られてくるので、チャットが開始できます。
今年度は週2回水曜日、木曜日18時~22時の対応をしています。
★ びーらぶプログラムが始まりました 同じく内閣府のパイロット事業として山口県からの補助金で、念願だったびーらぶプログラムの開催にこぎつけました。しかし、新型コロナウィルス対策で会場が閉館となり、本来12回シリーズをショート版の5回シリーズに変更しました。9月からスーパーバイズを受けて練習をし、11月に説明会・インテーク面接をし、やっと11月下旬に第1回を始めることができました。その後は、1月初旬の寒波で、1回延期になり、今の状況では3月のフォローアップで終了となります。 最初は緊張状態だった母親も子どもも少しずつ緊張が取れ、安心安全な場を体験してもらっています。母親は自分の体験を話すことで、他の人も同じ体験をしているという実感を得ているようです。子どもの方も、安全な場を楽しめるようになっています。母親と子どもが同じテーマでプログラムを学んでいますので「親子の会話ができるようになった」、「びーらぶで学んだことを子どもとのふれあいで使ってみた」という感想がありました。子どもたちは、10年足らずの人生のなかでこれまで自分の気持ちを出せずに生きていたと思われます。ここで気持ちを出していい、叱られないという体験をしています。インストラクターは子どもたちの気持ちを読み取る力と、子どもの行動には訳があることを理解し、子どもと同じ位置につけるかが求められています。とても深い意味のあるプログラムですが、私たちは四苦八苦しながら挑戦しています。
★ ゴールドマンサックス
子ども緊急支援基金
「DV被害者の居場所づくりとステップハウス」
この助成によって、10月末に新しく3DKのアパートを借りました。ステップハウスというのは、緊急支援で安全性が確保されたものの、自立に向けての支援が必要な人が入所するところです。今、仕事に就いてはいるのですが完全に自立できる状態ではないので、スタッフが様子を見に行ったり、日によっては食事を作って持って行ったりしています。心のバランスが安定するまで少し時間がかかることを予想してステップハウスでの支援をしています。
DV被害者の居場所づくりとして、11月から月2回「かもみーる」を開催しています。ここでは、安全な場所で心と身体のリフレッシュを目指しています。参加者は三々五々集まって昼食を食べて、気の向いたことをしています。公認心理師の心の相談、ハンドケアや占いなどがあります。時にはクラフトなどもあります。日常とは違う空間で、アロマの香りのハンドマッサージや、前向きに生きることを伝えてくれる占い、カウンセラーに話を聞いてもらえるというのは心身のリフレッシュになります。お菓子やお弁当で日常にはない部分で癒されるのだと思います。このような場を開催できることや参加者の気持ちがほぐされた表情をみることは、私たちの癒しにもなります。
★ 山口県赤い羽根テーマ募金に、みなさまから寄せられたご寄付を助成金として山口県共同募金会から頂きました。これはシェルター入所者のための食費、雑費、水光熱費として活用しております。また、入所者への面接、同行する時の謝金・交通費として活用しております。相談事業での相談員への謝金と交通費にも使わせていただいております。
★ 赤い羽根中央募金会
「赤い羽根 新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン」
居場所を失った人への緊急活動応援助成によって、居場所や、心のよりどころを失った人たちへの支援と自立に向けた生活支援をしています。コロナウィルスの影響で仕事を失ったためにDVがひどくなり家を追い出された女性への支援をしました。また今年度の特徴として、妊娠や出産に関わる費用支援、生活保護が決まるまでの間の支援などに使わせていただいています。
★ シェルターからの報告
たくさんの方から、子ども服やおもちゃ、衣類、タオル、カーテン、日用雑貨などを頂きました。今年度は同伴児が少ないので、子ども衣類は他の施設にも提供させていただきました。タオルや日用雑貨やマスクは入所者、退所者にプレゼントしました。とても喜ばれています。もちろん、シェルターでも活用させていただいております。可愛いタオルやバスタオルはすごく喜ばれました。カーテン、シーツも入所・退所がある度に必要になりますので、とても助かっています。家電・家具も退所の度に必要となりますので、どんどん出て行きます。たくさんいただいたティッシュ、トイレットペーパーなどは使いきってしまいました。掃除道具として、クイックルワイパーや水拭きワイパーなどは大変重宝しています。台所用品も退所する時、活躍しています。
★ 日本全国に普及する自治体の
「同性パートナーシップ制度」
弁護士 鈴木 朋絵
いまの日本では同性どうしのカップルは法律婚ができません。
一方で全国の自治体で普及しはじめているのが、同性パートナーシップ制度です。これは地方自治体での住民向け行政サービスとして、結婚と同等の関係をもって暮らしている生活実態がある同性カップルに対して、公的な証明書を出すという制度です。その最初は、2015年に東京都の渋谷区による「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」です。
毎月のように実施自治体が増え、2021年1月8日時点で74自治体となりました。いまや、実施自治体の住民数は日本の総人口の3分の1をカバーする勢いです。
利用カップル数は、2020年12月31日時点で1516組にものぼっており(NPO法人虹色ダイバーシティ調べ)、日本社会の中で同性カップルがどの地方にも住んでいるという事実が可視化されました。なお、総務省による国勢調査ではいまだに同性カップルの居住実態を明らかにする統計をとっていません。
中国地方では、岡山県総社市、岡山市と、そして、今年1月に広島市が加わり、いまは3自治体です。そして、2021年3月末までに、ここ山口県で初めて、宇部市で始まる予定です。
「婚姻」ではないので、法律上の効果はありません。しかし、自治体による公的認証をベースに、住宅ローンや保険、病院での家族としての取り扱いなど民間サービスや自治体での家族向け施策(公営住宅の入居など)の対象となる可能性をもつ制度となっています。
同性パートナーシップ制度の内容は自治体ごとに異なっています。最近のトレンドの制度設計は、「同性カップルのうち一人がこの自治体に住んでいれば対象とする」「法律婚ができないために養子縁組制度を利用していたとしても対象とする」「他の自治体に転居しても認証の効果を維持できるように、相互協定を自治体間で結ぶ」などです。特に地方では職場、友人、家族らへのカミングアウトが難しいこと、また、住宅を借りるのも差別をおそれて簡単にはできないとのことで、同居ができないままの同性カップルも多くいます。結果、遠距離のままという方も多く、双方居住要件を設定されると制度を利用できない同性カップルが出てしまいます。そのため最近はこの要件を設けない自治体も出ています。
そして、世田谷区では「新型コロナで亡くなった場合の傷病手当金を同性パートナーも申請できるようにする」など、同性パートナーシップ制度を基礎とする施策を積み上げています。
明石市ではさらに一段進んだ「ファミリーシップ制度」をこの1月から開始しました。これは同性カップルに養育されている子どもたちをも含めて自治体が公的に家族として認証する制度です。前婚での子どもを一緒に同性カップルで養育する、生殖補助医療を利用して子どもを得て共同養育するなどの経緯により、子育てする同性カップルがいらっしゃいます。
同性カップルの法律婚制度ができることが法的保護の早道なのですが、自治体が家族の暮らしの保障のありかたに関心をもち、施策を展開することにも大きな意義があります。1月2日の中国新聞記事では、山口県では下関市、萩市、岩国市、平生町で導入を検討しているとの報道がなされました。わたし個人としては、性の多様性の理解が進み、家族観も多様になることで、多くの方々が性別役割分業観のくびきから解放されていくことも期待しています。