ニュースレター37号
2020/07/01
無事、定期総会を開催しました。
新型コロナウィルスの感染防止による三密の回避ということで、今年度はweb会議としました。遠方の会員の方もweb会議だったら参加できるという思わぬところでのメリットもありました。昨年度の事業報告をします。
1. 相談事業
電話相談は、130人から422件の相談を受けました。相談者の内訳は、新規相談者28人、継続者48人、事務連絡54人でした。新規相談者28人の主訴は、DV・デートDVが19人、親や子との関係について4人、職場でのハラスメント1人、孤独や怒りについての相談が4人でした。それに対して、継続相談者は生活の不安や子ども・家族との関係性についての相談が多いです。行政のDV相談員や警察、弁護士から入所依頼があります。入所中や退所後も、生活保護関係部署やこども家庭課などと連携しています。
2. 自立支援事業
赤い羽根テーマ募金の助成で、面接同行支援を行うことができました。面接は新規の9人と継続16人に129回行いました。さらに、新規3人とシェルター退所者3人、継続支援の3人に市役所や裁判所・病院などに同行支援を40回行いました。
3. 一時保護事業
シェルターの入所者は、18家族28人、938日の利用で、入所家族数は、昨年度18家族と同数でしたが、利用日数は109日多くなりました。入所者からの電話は204回、面接は324回行い、市役所や裁判所などへの同行支援は118回行うことができました。赤い羽根テーマ募金の助成で面接同行支援、食料提供、水道光熱費の支援などを行いました。また、山口県からALSOKの夜間警備保障費の補助がありました。シェルターとして新たに県東部の1戸建てを無償提供していただき、次年度から使用する予定です。
4. 啓発・研修事業
山口きらめき財団、防府市、宇部市からデートDV防止教育を依頼されました。高校生と中学生に11校1,838人に授業を行いました。DV被害者支援講座の講師として講座を6回持ちました。山口県男女共同参画フォーラム、連合メーデーフェスタ、ANAクラウンプラザホテル主催の虹の架け橋に参加し、パネル展示をしたり、DVについてのセミナーも開きました。
DV被害女性とこどものための心理教育プログラムを開催するための「びーらぶインストラクター養成講座」基礎編4日間、応用編6日間を山口きらめき財団と赤い羽根テーマ募金の助成金と、参加者負担で開催しました。基礎講座40人、応用講座20人の参加で、12人がインストラクターの資格を得ることができました。2020年度に「びーらぶプログラム」を開催する計画を立てています。
NPO法人レジリエンス代表中島幸子氏の講演会「性暴力被害者支援~トラウマと解離」を開催しました。中島氏のご厚意によって開催することができました。
シェルターから
たくさんの方からたくさんの物品の提供をいただいております。家電製品の一部はシェルターで活用させていただいています。今回のように新しいシェルターができた時に設置したり、入所者が退所するときに提供しています。購入すると中古であってもかなりの金額が要りますので助かっています。大型家電は引き取りに軽トラックなどが要りますので、乗用車に乗る程度の物が有り難いです。布団はシェルターで利用していた物をそのまま持っていきます。小さなテーブルなども提供しています。カーテンなどもほとんど自分で用意せねばなりません。ただ、窓のサイズは多様で、いろんなサイズのカーテンやレースのカーテンが必要となります。
コロナ対策用グッズも大変助かっています。マスクや消毒液などをいただきました。早速、シェルターや事務所で使わせていただいています。
物品提供ありがとうございました。お蔭さまで、たくさんの品物を当事者に提供できました。シェルターで活用したり、退所時に提供しています。
会員、賛助会員のみなさまへ
私どもの活動に、いつもご理解と温かいご支援を賜り、誠にありがとうございます。
被害女性のためのシェルター活動や研修講座、被害女性の自立に向けての様々な事業を実施しております。私たちNPO活動の基本は、ご理解いただくみなさま方のご意志とご篤志に支えられております。どうか本年度も、多くのみなさまのご賛助ご支援を賜りますようお願いいたします。
振込用紙を同封いたしました。既にお振込みくださり、重複しましたらご容赦ください。
会員:年会費5千円、賛助会員:(個人年会費1口3千円、団体 年会費1口1万円)
郵便振替口座:01370-2-68031 口座名:山口女性サポートネットワーク
2020年度事業について
2020年度は、内閣府のパイロット事業に山口県を通じて応募しておりますが、審査がまだですので、決定ではありません。コロナ関連の助成金や補助金などもあり、応募しているところですが、まだ決定したものはありません。2020年度の事業には赤い羽根テーマ募金もしっかり活用していきます。
新たな事業としてSNS相談に挑戦する予定です。他の団体でSNS相談を経験させてもらっています。若い人達がDV 被害やデートDVに遭っていたり、行き場を失っている例もあります。SNS相談は全国の女性たちが対象になると思いますが、全国女性シェルターネットに加盟している団体と連携しながら、新しい相談体制ができることを期待しています。
シェルター事業では、感染症対策として、事務所とシェルターとのテレビ電話で対応できるようなシステムも考えていきたいです。
シェルターの安全対策として、ドアホンの設置も検討しています。訪問者がだれか分からないままドアを開ける恐怖感を取り除くために、モニター付ドアホンを3室設定します。また、ベッドがある部屋は1室だけです。ベッドでないと寝られない人もおられます。衛生面からもベッド3台の購入を検討しています。
2002年に開設したシェルターですが、2020年3月までの入所者は115家族を超えました。近年の入所者は、年間20家族近くいます。今年度は、退所家族へのケアとして、「DV被害女性と子どものためのびーらぶプログラム」を9月ごろから始める予定です。びーらぶプログラムは、暴力のある家庭で育った子どもたちと暴力被害を受けた女性たちの回復のための心理教育プログラムです。母親と子どもたちが同時に同じテーマで学び、安全で安心な場の体験や、グループでの話し合いやワークの体験によって自己肯定感を高めていきます。
また、新たな事業として退所家族への家庭訪問も計画しています。
★新型コロナ感染の中でもDV被害者支援の手をとめないために
理事 弁護士 鈴木 朋絵
新型コロナ感染拡大とその防止のための外出自粛生活は生活を大きく変えました。家族がひとつ屋根の下にとじこめられれば、DVや虐待が急増すること、暴力から逃げられるように外から手をのばすことは難しくなることは予想通りで、世界中でDVや虐待の発生の報道が流れ、この時期に深く傷つけられた方へのサポートは長い支援が必要になると思います。
今回のことで私が一番心配だったのは、もしもDVシェルターが感染クラスターになってしまったらということでした。DV被害者支援自体が月単位で止まってしまうこともありますし、報道でシェルターの拠点の地域が伝えられてしまえば、シェルターの場所自体を変更しなければならない、そのために大きな費用を集め直さなければならないと、不安と危機感がつのりました。
山口女性サポートネットワークでもマスクや消毒アルコールなどが足りないとの声がありましたので、個人のSNSでつぶやいておりましたら、貴重な物資を寄附していただきました(ありがとうございました)。シェルターを出て生活しておられる方たちにもマスクは届けられました。職場で全くマスクが配布されず困っておられたとうかがいました。必要なときに寄附していただきたい物資のニーズをタイムリーにDVシェルター側が発信することの重要性を痛感しました。
昨年政府が新たに打ち出したDVシェルターへの助成事業は、SNS相談など新事業の費用が主なものでした。これは若年層からの相談、相談窓口まで赴くことができない方からの相談ニーズを受け付けていくのに必要なツールとなります。ただ、そもそもの山口女性サポートネットワークの基本的な事業であるシェルター事業や自立支援事業を支えるためのシェルターの賃料や光熱費、支援のために日々動いておられるスタッフの方々の人件費や実費を支えるための項目はないようです。各地でのイベントが中止になり、チャリティ収入も減っています。活動の手を決してとめることができない事業ですので、今後も息の長いご支援をよろしくお願いします。