ニュースレター40号
2022/01/30
寒中お見舞い申し上げます
つながりサポート事業に取り組んでいます。
今年度新たな事業が始まりました。内閣府男女共同参画局の地域女性活躍推進交付金(つながりサポート型)に山口県が応募し山口県の委託事業として「つながりサポート山口」に取り組んでいます。この事業の目的は、新型コロナウィルスによる生活への影響に対する女性へのサポートということです。労働問題、生活の不安、育児や子育て、夫婦関係や近隣の人間関係、健康問題、病気などの不安に対して相談にのるというものです。対象は女性です。事業内容は、相談事業、女性相談会、生理用品配布会、アウトリーチをしています。期間は令和3年8月~令和4年2月です。
この相談を受けて、山口県内でもいろんなことで困っている人がたくさんおられることが分かりました。チラシなどで伝わっていけばいくほど、相談件数も上がっています。生理の貧困も言われていますが、相談の中でお金がないために生理用品の購入ができないというお話もありました。
1.相談事業
相談事業として毎週月~金曜日(祝日除く)10:00~22:00を電話、SNS、メール、面接相談をしています。相談内容はDV、家族間の問題、生活困窮、病気、孤独、近隣関係、子育てなど多岐にわたっています。
12月末現在、電話相談273件、SNS(チャット)相談92件、メール相談39件ありました。
2. 女性相談会
女性相談会を岩国市から下関市までの全県下で行っています。9月は新型コロナウィルスのために中止した回もありましたが8月~12月に16回行いました。面接を希望する方も多く、31件の相談がありました。ここでは生理用品の提供も行いました。
3. 生理用品配布会
生理用品配布会は全県下で配布しています。これはドット・スタイルという団体に再委託しています。
子ども食堂やいろんな集まりで必要な方に配っています。
4. アウトリーチ
アウトリーチとして、お住まい近くの公共施設で面接をしています。希望する人もたくさんいました。全県下に面接に行っています。18件あります。
同行の希望もありましたので、3件同行しています。弁護士事務所や不動産関係などへの同行をしています。
パイロット事業
今年度のパイロット事業は山口県からの補助金で行っています。SNS相談、びーらぶプログラム、居場所、アウトリーチなどを行っています。SNS相談は水曜日・木曜日の18時~22時に対応しています。
びーらぶプログラムは12回の連続講座ですが、5家族が参加しています。DVや虐待についての情報提供や、暴力を使わないで解決する方法や、子どもへのかかわり方、セルフケアやアファメーションなどについて伝えています。2時間が自分自身に向かい合う時間となっています。少しずつ本来の力を取り戻しておられるようです。子どもたちも息苦しさからの解放感を味わっているようです。
居場所では、月に2回程度、シェルター退所者に案内しています。ハンドマッサージや面接などをしながらゆっくり昼食を一緒に摂っています。参加者どうしのおしゃべりの時間など、子どもと母親が自由に過ごせる時間を設定しています。
アウトリーチでは、シェルター退所者への家庭訪問をしています。生活で困ることはないか、仕事での困りごとはないかなどを訊ねています。孤独に悩まされている人もありますし、仕事を辞めた人への失業保険などの手続きなどに同行したりして、生活が成り立つようにしています。
シェルターからの報告
今年度は短期の入所者が多いです。1月現在で17家族の入所者がありました。家を出たものの決断ができなかった人も、毎日面接をすることで、自分の方向性を見つけて歩みだされています。場合によっては、居所は決まっているが、すぐに入れないために一時避難という方もおられました。また、ホームレス状態になって車中泊などを余儀なくされている方もおられました。
年末に社会的包摂サポートセンターのChanKanプロジェクトに応募しました。40歳未満の入所者のシェルター代が出るというものです。生活困窮者が多いので、シェルター代が出るということはとてもうれしいことです。しかし、生活用品などの支援はないので、赤い羽根テーマ募金の助成をお願いせねばなりません。
皆様から頂いた食料品、衣類、寝具などをシェルターで活用させていただいています。退所される時は、頂いた家電、家具やカーテンなどを提供して、購入しなくてもすぐに生活ができるようにしています。とても喜ばれています。
シェルターの改装費としてフィランソロピー協会を通じて株式会社LIFULLから助成を受けることが決定しました。エアコンやシェルターの床の工事などを全面的に改装できそうです。
パープル山口SNS相談(DVのチャット相談) https://form.purple-yamaguchi.jp/ 毎週水曜日・木曜日 18:00~22:00
・上記のURLサイトでメールアドレスを入力いただくとチャット用URLが届きます。
・携帯電話アドレスの場合purple-yamaguchi.jpのドメインからメールを受け取れるように
設定をお願いします。
澤田壽子さんを悼む
代表理事 小柴久子
山口女性サポートネットワークはこの20年間、たくさんの方から様々な支援を受けてきました。その中のお一人、元理事の澤田壽子さんが昨年10月に旅立たれました。彼女は2002年から2020年度まで理事でした。
2000年に文部科学省の「女性のエンパワメントのための補助事業」で「DV被害者支援連続講座」開催しました。この講座はDV問題に精通した全国の有数の社会学者や精神科医、弁護士、臨床心理士、シェルター運営者などを講師に迎え10回連続講座を開催しました。その講座は現在の山口女性サポートネットワークの基礎となるものです。澤田さんも実行委員として企画や、経理をしてくださいました。2001年、この講座の受講者によって「ホットライン山口」を立ち上げて、DV相談を受けることになりました。相談員が一人5000円を出して、電話一本だけのスタートとなりました。澤田さんは、「この事業はずーっとやっていこう」と言われました。次の年も同じ補助事業で被害者支援事業を行いました。
2002年に山口県立大学の加登田恵子先生に団体の命名とNPO法人申請手続きの準備もしてもらいました。加登田先生、澤田さんと私の3人の理事と社員10名で法人化し、事務所とシェルターにもなる一軒屋を借りました。澤田さんはホームページを担当してくださいました。澤田さんは、国際ソロプチミスト防府の会員でしたので、DV被害者支援として寄付を取り付けてくださり、2002年度から今日まで寄付を頂いています。さらに、国際ソロプチミスト防府の会員に当法人の賛助会費を募ってくださいました。そのことによって、他の国際ソロプチミストからも寄付を受けることができるようになりました。澤田さんは国際ソロプチミストアメリカ連盟に申請し、2003年に200万円、2005年100万円、2006年70万円、2008年70万円の寄付を四度頂きました。これらの資金のよって、相談員は手弁当ではありますが、相談事業、シェルター事業、自立支援事業を続ける資金を得ることができました。
澤田さんは昨年の四月体調を崩され理事を降りられました。ご病気がひどい状態だったとは全く知りませんでした。8月に余命三か月と宣告され、ご自宅での療養に切り替えられました。痛みとの戦いだったそうです。10月にご家族以外誰にも伝えられず、最愛の夫様に見守られて旅立たれました。もちろん、私たちが病状を知りえたとしてもコロナ禍でお見舞いに行ける状態ではなかったことも彼女の配慮でしょう。遺影は国際ソロプチミストとして活躍されていた時の写真で、ご自身が選ばれたものでした。ご自分の人生を最後まで自分の意思で生き抜くという強さを感じました。
そして、彼女は山口女性サポートネットワークに寄付をすることを言い残され、夫様が実行してくださいました。彼女は2002年からずーっと山口女性サポートネットワークのことを心にかけてくださいました。彼女の経済面での支えがあってこそ、今日の山口女性サポートネットワークがあるといっても過言ではないでしょう。彼女から励まされた日々を思うと、彼女への感謝の念は堪えません。天国に行かれてもいつも私たちを支えてくださっていると思います。ご冥福をお祈りいたします。
赤い羽根テーマ募金(2022年1月~3月)
赤い羽根テーマ募金のご協力をお願いします。テーマ募金の寄付金は山口県共同募金会からそれぞれの団体に直接助成金として渡されます。
税金控除などの対象でもあります。
ありがとう 赤い羽根テーマ募金 令和2年度
赤い羽根テーマ募金でびーらぶインストラクター養成講座を行うことができました。新しく7人がインストラクターの資格を得ることができ、一緒にびーらぶプログラムをしています。また、相談事業やシェルター事業への支援をしてもらっています。有意義に使わせていただいています。
ありがとう! 中央共同募金会
新型コロナ感染下の福祉活動応援全国キャンペーン
「居場所を失った人への緊急活動応援助成第3回」
中央共同募金会からコロナ禍で居場所を失った助成と子どもの一時保護の助成を受けることができました。
その内容は、シェルターに入所した人への相談、面接、同行支援とシェルター維持費(家賃、水光熱費)、相談員の支援費で、期間は2021年4月から2022年3月31日です。
私たちの活動を紹介します。シェルター入所者があることが分かると、すぐに家族数に合わせた寝具の用意をし、疲れてきた人たちへの夕食づくりと朝食用の食材を購入に走ります。アレルギーや好き嫌いが分かればできるだけ避けた食材を用意します。多くの場合、カレーだったりシチューだったりしますが、これは好評です。時にはハヤシライスのこともあります。入所者たちが到着すると部屋に荷物を運びこみます。
入所の手続きをして、その日はそーっとします。翌日から面接をして私たちは何をすべきかを話し合います。人によっては保護命令が必要な場合には、証拠や必要な書類集めに同行していきます。すぐに書類が集まる場合もあれば時間がかかる場合もあります。遠くの町まで車で走らねばならないこともあります。そして、保護命令申請書を一緒に作成していきます。辛いことを思い出さねばならないので、こちらとしても辛いですが、一緒に書いていきます。
子どもさんがおられる場合は、保育園の転園の手続きや通学の手続きに教育委員会や学校などに同行します。今のネックは保育所の転園に時間がかかり、1か月から2か月かかる場合もあります。その間、こどもも一緒に動くこともあれば、相談員と留守番ができる場合は他の相談員と留守番をします。
病院に同行せねばならない場合もあります。必要に応じて、関係科を受診します。ハローワークに行く場合もあります。それぞれの人に応じた支援をしていきます。
安全性が確保され、生活の目処が立てば、退所に向けて住まいを探します。公営住宅や民間住宅など状況に合わせて探していきます。住まいが決まったら、提供できる家電や家具や食器など提供できる物を選んでもらいます。そこでやっと引っ越しとなります。引っ越しの手伝いもします。
今年度、このような支援の一環を中央共同募金会から助成を受けることができました。これまで相談員には1日500円のサポート費しか出せませんでしたが、時給で活動に応じた支援費を出すことができます。大変うれしいことです。支援費が出ることは、相談員の気持ちも違います。心を込めた支援が行える点、相談者と相談員に双方にプラスに働きます。
中央共同募金会の助成金に心より感謝申し上げます。