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ニュースレター47号

2025/09/06

令和6年度の事業が終わり、4月から令和7年度の事業が始まっています。5月25日に無事に令和6年度の事業報告決算報告と令和7年度の事業計画・予算について可決し、無事に総会が終わりました。令和6年度の事業を振り返ってみると、例年よりたくさんの事業を行うことができました。
【相談事業】相談時間ですが、令和6年度は月・金曜日10時から20時、火・水・木曜日は10時~21時の対応をしました。令和7年度は平日10時から20時に変更しています。相談は電話、メール、チャットで対応しています。令和6年度は電話相談が64人の相談者と行政など15の機関から338回の相談がありました。メールは12人から13回でした。チャットが12人から13件ありました。(つながりサポート山口の相談件数は別です。)
【自立支援事業】シェルター退所者を対象にしています。DV被害や家庭内暴力や性暴力を受けた人たちはシェルターを退所したから安心だというわけにはいきません。長引く離婚調停や裁判などへの不安、経済的不安、孤独感などへの支援が必要です。令和6年度は同行支援や面接を18人に29回行いました。心理教育プログラムびーらぶプログラムを就学前のショート6回(5月~8月)と小学校高学年のスタンダード12回(10月~3月)を行いました。また、居場所づくりとして「かもみーる会」を11時から14時に開き、昼食の提供と各自自由におしゃべりをする時間を取っています。これを21回開催し、19家族121人の参加がありました。また、ユネスコ協会連盟主催の夏休み平和体験旅行と春休み沖縄平和体験旅行に参加しました。夏休みの旅行は4家族13人が参加し家族旅行を楽しみました。春休みの沖縄旅行は全国から100人近くが集まりました。当法人関係者は中学生4人と小学生1人が参加しました。赤い羽根中央共同募金会による外国にルーツのある人への支援として日本語教室と子どもの学習支援を行いました。
【シェルター事業】山口県赤い羽根テーマ募金と、コーセー化粧品、赤い羽根中央共同募金会の助成を受けることができました。中央共同募金会とコーセー化粧品の助成は家具家電の購入に当て、テーブルや家電を新調することができました。シェルター入所者は35家族67人で10代1人、20代9人、30代7人、40代12人、50代2人、60代3人、70代1人でした。
【広報啓発活事業】デートDV防止教育の県内高等学校中学校で行いました。7校1199人が受講しました。びーらぶインストラクター養成講座を山口きらめき財団と山口県赤い羽根テーマ募金によって開催し、新たに5人のインストラクターが誕生しました。びーらぶプログラムの高学年のインストラクターとして活動しました。
【女性自立支援事業】山口県の委託事業「つながりサポート山口」を実施しました。これは、困難な問題を抱える女性への支援が目的です。相談事業では電話相談101人から991回の相談がありました。メール相談は12人から64回あり、チャットでは42人から71回の相談を受けました。アウトリーチとして面接35人から73回、同行支援を9人に行いました。また、居場所として相談カフェを毎週金曜日に47回30家族延べ153家族264人の参加がありました。緊急避難が14家族ありました。アフターケアとして、パソコン教室、エンパワメントという心理教育、カウンセリングを行いました。

シェルターからの報告
令和6年度は35家族がシェルターを利用しました。入所時には翌日までの食料や洗剤など日用品の提供をしました。シェルター入所者にとって物価高騰はとても大きな痛手でした。しかし、皆様からいただいたお米で何とか提供することができました。米が底をつくのではないかと不安になりましたが、1月に米の寄贈があり大変助かりました。皆様からいただいて米のごはんを提供できました。

そろそろはじまる離婚後共同親権制度
               鈴木 朋絵(弁護士/理事)

2026年5月までに離婚後共同親権制度が施行されます。婚姻中のDV被害者が離婚手続で親権がどうなるのか、支援を受ける前にすでに離婚していて共同親権を設定し、その後に支援を求めてこられた場合にどうなるのかと、支援内容にも大きな影響が生じます。
施行日はまだ決まっておらず、法務省や日弁連による解説本もまだ刊行されていません。秋以降になりそうです。
改正民法819条からわかる範囲での手続イメージを描き出してみました。
 
話し合い(協議)をする
   決まる   決まらない
    ↓      調停    
    ↓      決まる 親権が決まらない        
    ↓       ↓   協議に代わる審判
    ↓       ↓       ↓  離婚が決まらない
    ↓       ↓       ↓       離婚裁判
    ↓       ↓       ↓819条5   ↓819条2    
単独親権  または 共同親権 819条7項の要件を満たすときは必ず単独親権
                    
お子さんを伴ってDVからの避難別居をするときには、①(離婚前であっても)監護者指定審判の申立をする、②保護命令の申立をする、③離婚手続の中で民法819条7項の要件をみたす具体的な事情を主張立証する、これらの手続のための証拠資料をなるべく確保することを意識する必要があります。
改正民法824条の3により、単独で子の監護教育、居所の指定・変更等をすることができ、監護者でない親権者は妨げてはならないとの明文が入りました。避難直後からこの審判をとりにいくことは今後の実務では必須レベルになることと思われます。
共同親権か単独親権かは原則・例外の関係にはありません。しかし、一方が共同親権に同意をしていなくても裁判所が共同親権を定めることができます。共同親権となると日常行為や急迫な事情がある場合には単独で決定できるとしても、どこに住むかとか、お子さん名義の財産の管理については共同で決定しなければなりません。改正民法819条7項に該当する事実がある(虐待やDV、そのおそれがある、その他話し合いが困難な事情があるなど)をしっかり主張する必要があります。DVの証拠がどうしても集められなかったとしても、国会での政府答弁は「客観的な証拠の有無に限らず、諸般の状況を考慮して判断することとなる」とされています。具体的なエピソードのヒアリングと整理が大切です。また詳しいことがわかった時期にお知らせをします。

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