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ニュースレター48号

2026/02/14

第5回世界女性シェルター会議(シドニー)に参加しました。

第5回世界女性シェルター会議が2025年9月15日~18日にオーストラリアのシドニーで開催され、62か国から1500人が参加しました。山口女性サポートネットワークからは4人が参加しました。会場はコンベンションセンターで総ガラス張りの5階建て建物で、夜はカラフルな照明があり、美しい会場でした。テーマの一つに先住民族に対するDVが掲げられ、開会式では先住民族に対する敬意が表明されました。シドニーは春でしたので温暖で過ごしやすく、緑が多く美しい街でした。
オーストラリアはデジタル化やテクノロジーの活用が進んでいました。入国ビザ申請もアプリで、買い物の支払いもすべてカード決済が可能でした。会議のアプリをスマホに入れると、日程、基調講演者名と略歴、基調講演はAIによる通訳もありました。残念なことに分科会の通訳はなかったので苦労しました。そういう点からも、今回のシェルター会議の主なテーマの一つはテクノロジーによる暴力対策でした。
9月15日15:00~19:00開会式、基調講演、歓迎レセプション。16日8:30~18:00、17日8:30~17:20閉会式、基調講演、全体会議6回、歓迎レセプション、地域別会議1回、ワークショップ6回(1回1時間)11部屋で109団体が実施しました。午前10時頃から30分のモーニングティ、午後3時頃から30分アフターヌーンティがありました。ランチやお茶の時間のお菓子なども参加費に含まれていましたので高かったですが、それなりの満足感はありました。
オーストラリアの電話会社が新しい携帯を使用料込でDVシェルターに寄付したことがきっかけで、国も財政援助をし、今では毎年15,000台の携帯を寄付しています。各シェルター支援団体にテクノロジー専門担当者を置いて、相談員研修もしていました。今回の会議の主催者であるWESNETは「テクノロジーに関する安全計画~ テクノロジーを悪用したDVやストーカー行為に遭った女性のためのガイド」という冊子を作成していました。それにはテクノロジーを悪用した暴力(追跡による脅し、居所の突き止め、デジタル性被害など)への対策、テクノロジー暴力を記録する方法、助けの求め方などが載っていました。昨年、当シェルターに入所した人の場合、山口県警察本部がGPSを徹底的に探したにも関わらず見つからなかったのですが、居所をつきとめられた例がありました。それは、車の位置情報でどこにいるか分かったということでした。この冊子にも載っていますが、「車には多くの場合、スマートフォンと接続できるナビゲーションシステムが内蔵されているため、位置情報履歴が明らかになる」とありました。日本ではテクノロジー対策が十分ではないし、対策について私たちも学ぶ必要があると思います。
もう一つ印象的だったものに、カナダのアルバータ州女性シェルター評議会(Alberta Council of Women’s Shelters)が「IT IS NOT A GAME」という冊子と動画を作成した報告がありました。DV家庭の子どもが親の首絞めを見ることによって、きょうだい間で首絞めを行う可能性が高いという報告がありました。そういう子どもたちの支援をどうしているか、危険性を教え、それぞれの気持ちを考えるという教育を行っているという報告でした。
動画を簡単に紹介すると、ゲームで負けた兄が弟の首絞めをしたという設定です。「心臓Henry」と「脳Brenda」と「肺LukaとLucy」がどんな状態になるのか話し合っています。脳は「動揺している」、肺は「息ができなかった」、心臓は「ドラムを早くたたいた」と言い、脳は「めまいがして、星が見えて物事が黒くなり始めた」と語っていました。脳や肺、心臓が「殺されるかもしれないとても危険なことだ」と言います。首絞めをした子どもは「ママに言わないで!ごめんなさい。秘密にして!もしママに言ったら、僕どうなるかわからない」と言いました。このとき、「どうする?」という問いかけがあります。「あなたの安全な場所はどこ?」「安全な人は誰?」「困ったときに相談するところもあるよ」「子どもとお母さんが相談に行くところもあるよ」「気持ちがむしゃくしゃした時に気持ちを吹き飛ばす方法があるよ」「いやだと言っていいんだよ」などを伝えることが描かれています。「一度で解決するわけではないが二人の子どもは少しずつ感情のコントロールができるようになった」と終わっています。指導者用の解説テキストも作ってありました。
このような対策が日本では十分ではありません。具体的な動画や漫画で子どもたちに寄り添ったものが作られていることに驚きました。

赤い羽根テーマ募金のご協力をお願いします。
【今回のテーマ募金はシェルターでの支援費として使わせていただきます。】

今年も赤い羽根テーマ募金が始まります。期間は令和8年1月から3月です。このテーマ募金の活用方法は、シェルター入所者のために使います。どのように活用するのかお知らせします。
シェルターの入所が決まりますと、シェルターに化粧品や日用雑貨、タオル、布団の用意をします。また、食料として卵、牛乳、パン、野菜、果物、お菓子、調味料などを買い、皆様から頂いたお米を入所者の冷蔵庫に入れます。ご飯も炊いて、カレーやシチュー、あるいはおでんなどを作ります。警察に行って色々聞かれて手続きをしてシェルターに着いたときは疲れ切っていますので、できるだけ温かい食事を提供します。場合によっては衣類、おむつの購入もあります。
シェルターに到着して、入所手続きを済ませると、部屋の案内をしてその日はできるだけ早く眠れるように私たちは部屋から出ます。翌日からは、安全に暮らす方法を考え、裁判所、弁護士相談、行政への相談、クリニック受診などの同行もします。託児もあります。住居、生活費のめどがたって退所となります。退所時には皆様から頂いた家電製品や鍋、食器、調理器具などを提供し、引っ越しも安く手伝ってもらえる方たちに手伝ってもらいます。
このように必要な人件費、交通費、消耗品費、水光熱費、家賃などに使わせていただきます。
どうぞご支援くださいますようお願い申し上げます。


若い女性への支援について

12月に立教大学の博士課程の女性が「若い女性への支援をしている全国の団体の調査」として当団体に来られました。その時の資料作成や大学院生に報告しながら話し合ったことなどを踏まえて報告したいと思います。
若い女性の支援を含めて山口県から2021年から女性自立支援の委託事業を受けています。「つながりサポート山口」という名前で相談事業、アウトリーチ、居場所づくり、アフターケア、緊急支援などを行っています。ここでいう若い女性とは10代から30歳の女性のことです。過去5年間のシェルター入所者の実態を調べてみました。
大学院生の質問に、山口県では大きな繫華街があるわけでもないのにどうして若い女性の支援が必要なのかわからないということでした。そこで、シェルター入所者の実態を提供しました。

 【年度別 シェルター入所者の状況 10代~30歳 2021年4月~2025年12月】
年度   入所者数  年齢    暴力の内容
2021年度  4人   21歳~30歳  同棲DV2人 夫DV1人 
                  父性暴力1人
2022年度  7人   18歳~28歳  夫DV6人 父身体暴力1人
2023年度  4人   21歳~30歳  夫DV2人 父身体暴力2人
2024年度  10人   18歳~27歳  同棲DV2人、義父性暴力1人、
                  父身体暴力1人、母身体暴力1、
                  母経済暴力2人、やくざがらみ1人
2025年度  4人   19歳~30歳  夫DV2人、義父性暴力1人、
                  母身体暴力1人

暴力被害は29人中DV17人、父母からの身体的暴力6人、父・岐阜からの性暴力3人、母からの経済的暴力3人でした。大学生が3人、高校生が1人います。入所の紹介先は行政のDV相談からが大半を占め21人います。警察1人、つながりサポート山口5人、個人からの紹介1人でした。若い女性で特徴的なのは、父親からの性暴力被害、母親からの経済的暴力です。大学生、高校生という学生もいます。大都会の繁華街に繰り出している女性たちと同じように地方でも家庭内の問題を抱えて、居場所を失っている若い女性たちがたくさんいることがわかります。
この表にはありませんが、DV被害者の18人のうち、子どもがいない人が6人、子どもが一人の人8人、子ども二人の人が2人、三人の人が2人です。他の年代に比べて子どもがまだ少ないです。ただ、3人の子どもがいる人は30歳、26歳でした。26歳の女性は10代で出産をしていました。早く結婚してDVに遭っている女性は幼少期から親たちから虐待を受けたりしている人たちでした。外国籍の女性も2人います。夫が日本人の場合もありますが、同じ国の男性の場合もありました。こどもがいる場合には日本に残ることができますが、子どもがいない場合には離婚と同時に自国に帰らねばならない人もいました。
「困難を抱える女性への支援法」が成立して、行政の女性相談はDV以外の女性への支援もしていて、相談員も困難な女性への支援を積極的にしていることが分かります。A市では、いろんな部署に相談に行くと、女性相談につながる仕組みになっています。あらゆる困難を抱えている女性が相談に行きやすくなっているようです。

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