2020年度の活動報告です。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、生活や仕事、家庭環境に大きな影響が及んだ2020年度。感染対策を行いながら、DV被害者の一時保護や相談支援を継続しました。また、コロナ禍をきっかけに、SNS相談やステップハウス、DV被害者と子どものための居場所「かもみーる」など、新たな支援の取り組みも始まりました。これまでの支援をさらに広げ、暴力から逃れるための支援だけでなく、その後の生活や心の回復まで支える取り組みを進めました。
1.DV被害者へのシェルター支援
コロナ禍でも、安全な避難場所を提供しました。
2020年度は、19家族・29人をシェルターで受け入れました。新型コロナウイルスの感染拡大による生活環境の変化や、仕事を失ったことなどをきっかけに、DVが深刻化したケースもありました。
入所者は10代から70代まで幅広く、20代・30代の若い女性が多かったことが特徴です。妊娠中の女性も3人おり、入所中に出産したケースもありました。
保護命令の申立てや行政、裁判所、弁護士などへの同行、面接などを行い、安全の確保から退所後の生活まで、一人ひとりの状況に合わせて支援しました。
感染拡大による制約がある中でも、必要な人を受け入れ、安全に過ごせる場所を守ることを最優先に活動しました。
チャットによる相談支援を開始
電話では相談しにくい人にも、相談の入り口を設けました。
2020年度は、内閣府のパイロット事業を活用し、チャットによるDV相談を新たに開始しました。
電話で話すことが苦手な人や、周囲に相談内容を知られたくない人、子どものそばにいて電話で話すことが難しい人など、これまで電話相談につながりにくかった人も、チャットを通じて相談できるようになりました。
2020年12月から2021年3月までに、10代から50代の16人・31件の相談が寄せられました。チャット相談をきっかけに電話相談につながったケースや、児童相談所への通告につながったケースもありました。
相談方法を増やすことで、より多くの人が支援につながるための新しい入口をつくりました。
シェルター退所後の自立支援
退所後も、生活の立て直しを支えました。
シェルターを退所した後も安心して生活できるよう、家庭訪問や同行支援を行いました。
2020年度は、29人に113回の家庭訪問、12人に72回の同行支援を実施しました。
家庭訪問では、生活の様子を確認するだけでなく、出産した人への育児相談や育児用品の提供、食料品や日用品の支援なども行いました。
行政手続きや裁判所の調停、弁護士事務所、入国管理局での手続きなどにも同行し、シェルターを出た後の不安や困難に寄り添いながら、新しい生活を始めるための支援を続けました。
ゴールドマン・サックスの支援による新たな取り組み
2020年度は、ゴールドマン・サックス証券株式会社から「コロナ緊急対策」として助成を受け、DV被害を受けた女性と子どものための新たな支援を始めました。
ステップハウス
その一つが、シェルター退所後の生活を支えるステップハウスです。
3LDKのアパートを借り、シェルターを退所したものの、精神的に不安定な状態が続き、すぐに自立することが難しい女性が利用しました。スタッフが様子を見に行ったり、必要に応じて食事を届けたりしながら、心身の状態を整え、生活を立て直していくための支援を行いました。
かもみーる
もう一つが、DV被害を受けた女性と子どものための居場所「かもみーる」です。
2020年11月から2021年3月までに11回開催し、11家族・15人、延べ60人が参加しました。カウンセリング、ハンドケア、クラフト、瞑想などを行い、日常とは少し違う空間で、心と身体をゆっくり休める時間を提供しました。
シェルターでの緊急避難と、その後の自立との間をつなぐステップハウスと、安心して過ごせる居場所。これらは、その後の継続的な支援につながる新しい取り組みとなりました。
「びーらぶ」による母子への支援
暴力の影響を受けた母子の回復を支えました
DV被害を受けた女性と子どもを対象とした心理教育プログラム「びーらぶ」を開始しました。
2020年度は、新型コロナウイルスの影響で会場が使用できなくなったため、本来12回のプログラムを短縮し、小学校低学年の子どもを含む4家族を対象に6回の講座を実施しました。
母親と子どもがそれぞれの立場で暴力について学び、安全な場で自分の気持ちを表現する経験を重ねました。
講座の前後に行ったアンケートでは、参加した母親と子どもの双方に自己肯定感の向上が見られました。
また、行政でDV相談に携わる人を対象に「びーらぶ体験講座」も実施し、プログラムについて知ってもらう機会をつくりました。
デートDV防止教育・啓発
暴力を未然に防ぐための教育を続けました。
中学校、高等学校、大学などで、デートDV防止教育や講演を行いました。
新型コロナウイルスの影響から、リモートでの講演や参加など、新しい方法も取り入れながら活動を継続しました。
講座後のアンケートでは、実際にデートDVを経験している、または経験したことがあるという声も寄せられました。
被害が起きてから支援するだけでなく、若い世代がDVについて知り、相手を尊重した関係について考えることで、暴力を未然に防ぐための取り組みを続けました。
コロナ禍での生活支援
生活を失いかけた女性と子どもを支えました。
新型コロナウイルスの影響で仕事を失い、生活が不安定になったことをきっかけにDVが深刻化した女性への支援も行いました。
赤い羽根共同募金会などからの助成を活用し、シェルターでの食費や生活費、医療費、退所者への生活用品などを支援しました。
また、多くの団体や個人から寄せられた食料品、衣類、寝具、家電、日用品なども、シェルター入所者や退所者の生活再建に活用しました。
コロナ禍によって、それまで以上に生活の困難を抱える人が増える中、必要な物資や生活費を届けることも、重要な支援の一つとなりました。
来年度のご支援もよろしくお願いします。


